第6話 修正【完】

 月曜日は得になんの問題もなく、ゴールデンウィークに突入した。

 ゴールデンウィークは本来、沢山のバイトが入っていた。

 しかし、西園寺のおかげ?なのかそれが無くなった。

 ゴールデンウィークが終わったら新たなバイトの面接である。

 つまり、ゴールデンウィークは暇である。


 暇な時間があったら働くスタイルだったので休みに何をしていいのか分からん。

 神威達は家族旅行とかでいないし。

 愛海達もきっと友達と遊ぶだろう。


 そう広い部屋のベットの済で考えていると、コンコンとドアを叩く音が聞こえて来る。

 ドアの方に向かい、ドアを開けるとそこには西園寺が居た。


「どうしたんですか?」


 そう問いかけると西園寺はモジモジしながらもハッキリと言葉を発した。


「デートしませんか?」


 と、言う訳で西園寺は現在俺の部屋にいる。

 デート、外でするとは言っていない。

 俺は流され難い性格と自負していたが、流されやすい性格なようだ。

 俺に用意された部屋、と言うか用意されていた部屋には基本的な物は揃っている。

 西園寺が持って来たDVDを見る事になった。


「あの〜私は拓海君と一緒に見たいんですけど〜」


「いいじゃないですか〜映画は皆で見ると楽しいですよ〜」


 愛海と海華が乱入し、俺の左に愛海が、右に西園寺、俺の膝の上に座るのが海華である。

 テレビは大きく薄かった。


 見る映画はホラー映画だった。

 でも、普通に怖くなかった。

 どうしても映画と思って見てしまうようで、人が針千本状態で吊るされていても怖くなかった。

 海華なんて途中で飽きて寝てるし、愛海は⋯⋯あ、気絶してる。


「おかしいですね。怖いと聞いたので用意したんですが、全く怖くない」


 これは西園寺も予想外のようだった。


「な、なら!」


 他にもホラー映画を見たのだが、正直怖くない。しかしながら、ミステリー要素があった映画のミステリーはとても面白かった。

 西園寺と俺が互いに予測を立てて出し合ったのだ。

 答えは一致した時に互いに笑った。


「次は恋愛ものですね」


「その前に昼だな」


 愛海を気絶から起こして、料理人が作ってくれたご飯を食べる。

 愛海と西園寺の作ったご飯の方が美味いと感じた。


 昼からは恋愛ものを見たんだが、何故だろうか、面白くなかった。

 ただ、アニメ映画の方は普通に面白く鑑賞出来た。

 ただ、びっくりしたのがR15指定のドロドロとした物やR18の物もあった。

 パッケージで判断した西園寺がそれらは閉まっておいた。

 18歳では無い俺達は見ては行けません。海華には尚更見せられない。


 そんな和やかとした時間を過ごしていたら、あっという間に寝る時間になった。

 その時に愛海と西園寺が電気を散らしていたいたが、気にしないで俺と海華は寝る事になった。


 朝起きると、体が重かった。

 理由は単純である。右腕にしがみついている海華。

 体の左部分に体重を乗せる愛海、そして体の上に乗っている西園寺が原因である。


「なんで雪姫さんが居るんですか!」


「ん、ん〜。⋯⋯ッ!」


 相手も無意識だったようで、顔を真っ赤に一瞬で染め上げて、体から降りてくれ⋯⋯なかった。

 寧ろ抱き締められた。


「何してんですか!」


 愛海の不意打ちチョップが西園寺の頭に命中し、「ふんぎゃ」と叫んで西園寺は俺から降りてくれた。


 今日はこの屋敷の探索となった。

 ここを知り尽くしている筈の西園寺に案内を頼むと、こう応えて来た。


「すみません。私も自分の部屋とリビングとキッチンしか行き来しませんので、把握しておりません」


「雪姫さんの為にここあるんですよね! 当主なら把握しておきましょうよ! そうあって欲しかったですよ!」


「返す言葉はありません。謝罪も込めて私のから⋯⋯」


「お兄ちゃん速く行こー」


「愛海さん。毎回私達の邪魔を〜グギギ」


「邪魔? 寧ろ兄妹の邪魔をしてあるのは貴女では?」


「へぇ、言いますねぇ」


「ええ、言いますとも」


「お兄ちゃま。お姉ちゃんと雪姫お姉ちゃんって仲が悪いの?」


「喧嘩する程仲が良いんだよ」


「海華ちゃん。もう1回私の名前を呼んでくれませんか?」


「雪姫お姉ちゃん」


「はふぅ。勝ったぁ!」


「何言ってんですか」


 それから屋敷の中を歩いて回った。

 中には屋敷に住み込みで働いている使用人が居た。

 家庭を持っている人はここには住んでいないらしい。

 他には空き室や倉庫等がある。

 地下もあるらしいが、大抵は美品等が置いてあるらしい。


 次に庭に出る。

 花壇がメインの庭は隅々まで手入れが施されていて、見ているだけで和む。

 ま、ここに花をきちんと楽しめるような人が居ればの話だが。

 そう。少し見て飽きてしまった。

 西園寺、君はもう少し興味を持とう。


 反対の噴水や池、池には鯉が泳いでいた。

 鯉は動きがあって、長い間見ている事が出来た。

 屋敷の裏にはプールがあった。


 学園のプールは片道25メートル、何とこの屋敷のプールは片道25メートルである。

 他には流れるプールや円形のプールが存在していた。

 ウォータースライダーのような物まであった。

 屋敷の裏だが、窓側では無いので屋敷の中からプールは見えないし、屋敷が大きいのでウォータースライダーも目立たない。


「雪姫さんはここ結構使うの?」


「いえ。寧ろこんなのがあった事に私自身も驚愕しております」


「ひろーい」


「西園寺財閥、なんて凄さだ」


 西園寺、屋敷の主なんだから把握はしておこうよ。


 屋敷に戻り休む事にする。

 屋敷や西園寺の敷地もざっと見たので良しとする。


「今日は課題やって終わるか」


 ゴールデンウィークの課題は多いからね。

 さっさと初めて速く終わらせる。


「あの、拓海君。明日は何処か遊びに出かけませんか?」


「雪姫さんは何処か行きたい場所はあるんですか?」


「拓海君が行きたい場所に行きたいです」


「いや、俺も無いので、何処か行きたい場所ないんですか?」


「拓海君の傍、ですかね」


 ⋯⋯どう答えて良いか分からない。

 こう言う時の回答案がめっちゃ欲しい。


「お兄ちゃん、動物園行こ!」


「ん? 分かった」


 大丈夫。多分、金は足りる。大丈夫。


「動物園ですか。私、行った事ないんですよね」


「そうなんですね。俺達も昔に1回行ったきり行った事がないので。どうですか?」


「4人一緒に、と言うのが少々文句を言いたいですが、良いですね」


「別に雪姫さんは来なくても良いんだよ〜?」


「そんな愛海さん。仲間外れにしないで下さいよ。いずれ家族になるんですから」


 どうしてこの2人はちょっとした事で火花を散らすのか。

 ま、それだけ仲が良いって事で。

 動物園、か。ちょっと楽しみだな。

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