第3話 修正【完】
昔にとある男の子が居ました。
両親と喧嘩して家出をした女の子を発見した男の子は女の子に対して手を伸ばしました。
その日から、女の子と男の子は毎日のように遊び、そして仲良くなりました。
旅行に来ていた女の子は家に帰る事になりました。
男の子と一緒に居たいとただを捏ねた女の子に対して男の子はこう言いました。
「僕から会いに行くよ」と。
女の子はそれを信じました。
それが彼女にとっての初恋の相手。
長年の年月が経ち、その男の子は約束通り会いに来てくれました。
同じ高校で同じクラス、まさに運命でした。
そして、気持ちを抑えられなかった女の子は、男の子に告白(笑)されました。
「で、その男の子が俺で女の子が西園⋯⋯雪姫さんだと?」
「そうです。その時にペアで用意したお守りがあるではありませんか」
西園寺が自分の部屋に戻って持って来たのは確かに見覚えがあった物だった。
確かに、母親が現役でバリバリに働いて居た時に金をくれて、一緒に買ったペアの物だった。
だけど、俺はそれを確かに記憶にはあるのだが、持っては居なかった。
売った可能性がある。
「ごめん。俺の親父が、それを持って行った可能性がある⋯⋯あいつ、金になりそうな物は全部持っていったから」
「⋯⋯ッ! そうなんですね。だから冷蔵庫も電子レンジもなかったんですね」
「はい。その、ごめん」
「い、いえ。良いんです。覚えてくれていただけでも。だけど、あの約束は(ボソリ)」
最後の部分だけ聞き取れなかった。
空気が悪くなってしまった。
取り敢えず、バイトに行こうかな。
「そう言えば、ここ、何処だよ」
「あ、そうですね。皆で散歩しましょう。拓海君はバイト全部辞めたんですし」
「⋯⋯俺さ、西園⋯⋯雪姫さんの行動力が怖いよ」
「雪姫で良いですよ。寧ろそうして欲しいです」
海華と愛海を連れて皆で外に出る。
右手に見えますは噴水に池、左手に見えますはバラが沢山生えたカラフルな花壇。
奥に歩いても門の所に行けるまでかなりの道がある。
西園寺の私服は良く似合っており、綺麗であった。美人は何着ても似合うと言うのは間違ってない。寧ろ大正解の百点だ。
学園の男子が見たら殺到するだろうな。
いや、女子もそうかもしれない。
「あ、あの。手を握っても⋯⋯」
「お兄ちゃん!」
「お兄ちゃま」
左手に海華、右手に愛海の手が重なる。
握り返してしっかりと固める。
西園寺が凄く暗いオーラを出してこちらを睨んで来るのだが、気にしないでおこう。
にしても、まさか昔にであった女の子が西園寺だとはびっくりした。あんまし覚えてないけど。
中学の途中からこっちに来たし、いつか前の友達とも会いたいな。
これからの生活どうなるんだろう。
てか、庭広くね?
これが別荘? 高校生1人の家? はは、金持ちの考える事は分からない。住み込みの使用人も居るし。
「そうです。皆さんのスマホも契約しないとですね」
「⋯⋯ッ! ダメだよ雪姫さん!」
「愛海さん?」
「だって、契約って命を代償に化け物と戦う力を手に入れるんでしょ?」
「すみません。それ、なにかの設定ですよね?」
スマホの契約って、流石にそこまでして貰うのは悪いだろ。
なんか『西園寺家に住むマニュアル』と言うのを神威から貰って読んだら『衣食住完全保証』『月3万の小遣い』『デートに関しては特別料金を送る』等など細かい事があったが、全部俺にとってはメリットしかない。
逆に言えば、西園寺にはメリットがないのだ。
だから、ここは断らないと。
「スマホにGPSアプリを入れないといけませんし、今どきスマホないと不便ですしね」
「い、嫌でも流石に」
「大丈夫です拓海君。スマホの内部に小型のGPSも入れますから。アプリだけだと不安ですもんね。他にも小型録音機も入れますよ」
「⋯⋯ごめん。他の意味で怖いから良いよ」
「そ、そんな。1割冗談ですよ!」
逆に9割本気って事だからね!
この屋敷は千葉県にあるようだった。
ただ、東京と近い位置にあり、学園の方もこの家の近くにある。
かなり良い立地であり、森で隠されているので街並みとか見えない。
お陰で物語の屋敷に入っているような感覚に陥る。
まずは携帯ショップに行く事にした。
a〇である。
「本当に良いんですか?」
「敬語は止めてください。本当に、スマホないと私が心配ですので愛海さんや海華ちゃんも欲しいよね」
「さん付けは良いですよ雪姫さん。あと、私は結構です。怖いですし」
「うーん。私も良いかなぁ。特に興味無いし」
「お2人の歳になるとこう言うの欲しいって言うのが普通だと思ってました」
これは本当に驚いていそうだな。
確かに、2人はあまり物欲は無いように思う。
俺からしてみたら普通にありがたい。
ただ、これからは⋯⋯って、これは俺の金じゃないしダメだろ。
お小遣いなんて使わない。やっぱりバイトはしたいな。
自分で稼いだ金で何かを買いたい。
相談しよう。
今更思ったが、俺も何故か慣れてんな。
いやまぁもうすぐ夕方で、朝から西園寺の家に来たんだけどさ。
だからってこんなすぐに慣れるもんかね。
結局スマホを皆分それぞれ契約し、西園寺曰く、スマホカバー等も既に頼んでいるらしいので帰ったらカバーをつけるらしい。
何もかもが西園寺の思い通りになっているような気がする。
本屋に来ている。
生活費等で精一杯だったので本なんて買ってやれなかった。
バイト代も財布にあるし、入試のために愛海に参考書でも買ってあげようかな?
西園寺のお陰でなんか、問題なさそうだし。
ただ、お小遣いは使わない。
「拓海さんは自分で何かを成したい人なんですね。ここでネタバラシをしますと、1番時給の良かったマ〇ド〇ル〇だけは残してますよ」
ほんと、俺のバイトをどうなって辞めさせたのかとても気になって来た。
シフトは日曜日で今日はフリー⋯⋯なんかこれも狙ってそうだな。
愛海は遠慮しているが、必要だろう。
「俺はラノベでも見に行こうかな?」
神威から借りて色々と読んでいたラノベがある棚に向かう。
西園寺も付いてくる。
好きな所に行けと言ったら、俺の隣が行きたい所です、と言われた。
「タイトルが長いですね。えーと。スキルがむちゃくそに気持ち悪いと言われてギルドから追放された女〜気持ち悪いと言われたスキルが実は最強で、無双しています〜か。他には⋯⋯心の底から信頼していた家族と妹に裏切られて最高難易度ダンジョン『奈落』の奥底に追いやられて死にかけたが、ゴミスキル【蠱毒】が覚醒した結果、余裕で攻略出来ました〜ありとあらゆる毒を操り、毒生物を作り出す最古の最強の魔王の力を使い世界と家族と妹に復讐及びざまぁしてやります〜どれも長いですね。妹は家族じゃないんでしょうか?」
ごめん。多分後者のタイトルは何かの間違いだと思うぞ?
流石に長すぎる。
「私、実はこう言うの読んだりするんですが、最近は異世界恋愛モノが増えていますよね」
「そうなんですね」
めっさ詳しいやん。
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