好きだよ、私だけのヒーローさん。
雨夏
第1話
「わぁ~!すごいよ、みてみて霧島くん!」
「落ち着いてください、先輩」
指さして大はしゃぎする天音先輩の肩に、俺はぽんと手をのせた。
俺の名は、
そして大はしゃぎ中の先輩は、
天音先輩は天真爛漫のようで、しっかりしているところもあって、弱いところもあって………いろいろなところがあるけど、やっぱりいい先輩だ。
男人気もハンパない。大人気だ。
今日は学校の、修学旅行のようなものだ。
冬の雪山で、スキーをしたり、キャンプファイヤーをしたり、バーベキューをしたりする。先輩・後輩一緒に。
2年生と1年生は、かならずペアを組んで、一緒に行動する決まり。
そんな中、俺と天音先輩はペアになった。
「今日は、何をするんだっけ?」
「ちょっと先輩、覚えてないんですか……」
「あはは、冗談冗談。スキーでしょ、スキー」
「そうですよ」
今日はスキー、そしてバーベキュー。
今日を終えるとこの旅行は終了だ。
「じゃあ、スキーしようよ」
「はい、でも俺初めてなんですよね」
「本当?教えてあげるよ!」
「ありがとうございます」
面倒見がいい先輩だ。
俺がどれだけのファンに目を付けられるかは、わからなかったことにしておこう。
もう着替えてあって、用意は万端。
これから滑る。というか、中にはもう滑っている生徒もいる。
「じゃあ行こうか」
俺たちは、スキーの足についてる細長いやつをつけながら歩いた。
コースは、初心者コース、中級車コース、上級者コース、達人コースと四種類ある。
先輩が向かったのは、初心者コースだった。
「先輩、すみません。俺に教えるために初心者コースで」
「いいのいいの、気にしないで。それよりさっ、はじめるよ!」
先輩はぱんっと笑顔で手をたたいた。
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