ふわり
高校生柳生
第1話
最近の僕。
悪いことをしたわけでもないのに両親の態度がそっけない。目も合わせてくれない。悲しい。
家には毎日友達が来てくれるのに、僕とは話さずに帰る。悲しい。
最近の僕。
周りがぼやけて見える。見慣れた光景も霞んで見える。虚しい。
好きだったはずの音楽も耳障りな不協和音に聞こえてくる。虚しい。
最近生きる意味を感じない。
今までは、死んだら周りの人が悲しむかもしれない、両親が、友達が、そんな思いで乗り越えていた。
この思いに代わるものはないだろうか。
今まで縋ってきたその思いが消えた今、そう簡単に代替案など見つかるはずもないことはわかっている。
街に出てみた。
普段と違う景色。上から見渡すと普段見えない隅々までが鮮明に見える。見慣れた光景のはずなのに、
心なしか視界が晴れてきた。さっきまでの靄が嘘のようだ。
公園で友達が遊んでいる声が聞こえた。正直羨ましいが、今は話しかける勇気も湧かないから逃げるようにその場を後にした。
この交差点を曲がると僕の家だ。
「散歩もいい暇つぶしになるな。」
そんなことを考えながら交差点を曲がると横からトラックが来た。
あぁ、トラックだ。
当たるかと思ったが当たらなかった、案外距離があったのかもしれない。
家に着くと何故か体が急に重くなった。
両親の態度は相変わらず、親友の恭太までもが僕を無視する。
さっきまでの宙に浮いていたようなふわふわした感覚が一気に消えた。空気が重い。
家の奥からはお香のような香りが漂っている。
あぁ、そうか。
ふわり 高校生柳生 @kousei1115
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