トワに

 入院から一月と少し経ったある日の事。

 僕とトワが話していると突然トワが倒れる、倒れたトワの体は異常な程に熱い! 僕は急いでナースコールを押す。

 しばらくすると医師と看護師さん達が駆けつけた。


「看護師さんトワが突然倒れたんです」

「先生これは……」

「そうですね……」

「トワは大丈夫なんですか?」

「……」


 無言のまま注射を打ち、そのままトワをベッドへと寝かせて医師たちは去っていった。


「トワ……」

「えへへへへ、ソラ私もうダメみたい……」


 目を覚ましたトワは、不吉な事を言い出した。


「どうして⁉」

「あのね、私には悲しいって感情がないの」

「それが何だって言うんだよ!」

「あはははは、えっとね私の能力って感情によって温度が変わる物なの、つまり体温を下げる能力である悲しさとかがないから……」

「なんだよ! なんだよそれ」

「あはははははは、それにしても残念だなぁ……ソラと離れるのに残念と思う事も出来ないなんて、悔しいなぁ一緒にいられなくなるなんて」

「トワ……」

「えへへ、もう感情が空っぽのソラじゃないね、空のソラ……だよ」


 トワのおかげで感情が戻って来た。

 でも、そのトワも一つの感情が欠けていた事で命を失おうとしている、そんなのは嫌だ! 僕にも感情が戻ってきたようにトワにも……


「トワにも悲しみの感情を!」


 ――瞬間!


 僕の体が光り、その光はトワの体へと繋がる、その光を受けてトワにも変化が訪れた。

 その変化とは涙を流しているトワだった。


「まだ生きていたい! ソラと離れたくない!」

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