感情の色
北比良南
無色
僕は今日も両親に虐げられている。
理由は至って簡単で、僕にはこの世界では有しているであろう筈の能力が使えないからだそうだ。
この世界ではそういった能力が誰でもある、例えば今現在暴力をふるってる両親は怒ると体に光りの膜なような物で覆われる。
僕にはこういった能力の類が無い、これは自分の感情の所為なのか、元々能力が無いからかもわからない。
「――おい! 聞いてるのか?」
「こんな子産まなければ良かったわ」
「……ごめんなさい」
今こうして両親から暴力や暴言を受けているが僕にはそれに対しても一切何も感じる事は無い。
これが普通の人間であるなら、殴られれば痛い、暴言を受ければ悲しい等あるのだろうけど、そう言った物を感じられない時点で僕は壊れているのだろう。
僕の周りは無色に見える。いや僕その物が無色なのだろう、何も感じず、ただただ空虚なのだから……
「もういい部屋に戻れ! 目にするのも不愉快だ」
「はい……」
「あなた……どうしてあんな子が私達から」
「何を見てる! さっさとあっちへ行け!」
両親の暴力と暴言から解放され部屋に戻りベッドで横になり、独り言ちる。
「何も感じないこんな世界で生きている意味はあるのかな?」
翌日早朝に僕は飛び降り自殺を図った。
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