歩いた先に君がいたから、話しかけてみた
奏流こころ
プロローグ
「好きです、付き合って下さい!」
人生初の告白。
「ごめんなさい」
玉砕となった。
※
「はぁ…」
キャンパス内の学食にいて、項垂れた。
フラれた。ショックが大きい。
1年の時、早めに教室にいてゆっくりしていると、その子が現れて。
隣に座って、その子もゆっくりし始めた。
何度か会う内に、いつの間にか話すようになっていて、交流を深めていった。
連絡先の交換以降、ちょくちょく連絡をするようになって、休日には一緒に出掛けるようになって。
2年の今年に入って、決意した。
告白する、と。
それで、先程、告白したら、フラれた。
『恋愛として見れない。友達としてで、お願い』
恋愛対象外だったのだ。
午後の講義に出席する気力体力はない。
サボることにした。
学食を出て、キャンパス内をただ歩く。
足取りはとぼとぼと弱く、強さはなかった。
フラフラと歩いていると、ベンチに座って読書をしている女子を見つけた。
背筋をピンと伸ばして座っている。
綺麗だな、と思った。
ブラウスにカーディガン、ブラウンのスカート、というシンプルな服装。
ストレートのセミロング、眼鏡をかけていた。
聡明に見える。
少し気になって、彼女の座るベンチに座った。
1人分くらい空けて。
チラッと見ると、横顔の美しさにドキリとした。
視線に気付いたのか、その子は俺の方を向いた。
目が合った。
こんなに澄んだ瞳を初めて見た。
吸い込まれる感覚がある。
ずっと、見ていられる。
「あの…」
体が震えた。
声が、とても可愛かったから。
「私に、何か?」
小首を傾げて訊ねたその子。
何と答えれば良いのやら。
「えっと…」
言葉に詰まる。
クスッと、突然その子は笑った。
「変な人ですね」
ふふふ、と笑うその子。
ドキッとした。
「あの、名前は?」
彼女のことを知りたくなった。
「
清瀬、さら、さん。
「良い名前ですね」
「貴方は?」
まだ言っていなかった。
「
うんうんと頷く清瀬さん。
「私、3年」
おっと…先輩だったか。
「2年です」
「そっかぁ…後輩かぁ」
年上の女性。
初めてかもしれない、気になるのは。
「また、どこかで会ったらよろしくね♪」
そう言って、清瀬さんは文庫本を鞄にしまい、ベンチから立つ。
スッと音を立てずに静かに。
フワッと軽くスカートが広がった。
振り向くことなく、立ち去った。
清瀬さんの背中が見えなくなるまで、ずっと見てしまった。
また、会えるかな…
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