NEKOUSAGI -CAT and rabbit-

星色輝吏っ💤

1人目「もふもふしちゃってください!」

 ねこがだいすきだああああああああああああああああああああ。


 うさぎがだいすきだあああああああああああああああああああ。


 もふもふしててだいすきだああああああああああああああああ。


 そうやって叫んだ日もありました(毎日)。


 どうも私、フレンと申します!


 ねことうさぎのカフェ経営しています!


 嘘です!


 近くの猫カフェでバイトして、そこにウサギ連れ込んでます!


 自分からシフト毎日にしてもらってます!


 毎日楽しいです!


 ぜひもふもふしに来てくださいね!




 お客さんが来ました。


私「いらっしゃいませ!」


客「あ、あのぅ……私、猫カフェも兎カフェも言ったことないのに両方なんて欲張りすぎですよね……やっぱり帰ります!」


私「待ってお客さん! 私はフレン! 私たちが全身全霊であなたをハッピーにして見せます」


客「え……? あなたたちが? ここ、メイドカフェか何かなんですか?」


私「め、メイド⁉ 断じて違います! そうじゃなくて、私もいつかネコやウサギのようなもふもふになる人間だからです!」


客「はぁ…………」


私「とにかく! 帰らないで! 欲張りじゃないです! 欲望に正直になってください! ネコちゃんやウサギちゃん、モフモフしたいですよね~?」


客「もふもふ…………したいです!」


私「まいどあり……!」


?「お~いフレン。ちょっと来い」


私「なんですか? 店長。今一人目のお客さんが」


店長「ああ見てた。フレンな、いつも言ってるだろ。まいどありはよくないって。うちが金取りたいだけみたいになるだろうが」


私「あ、すみません店長! てへぺろっ❤」


店長「か、かわいい…………が! それで許されると思うなよ!」


私「やっべ。店長に免疫ついちゃった。どうしよう……」


店長「今なんか言ったか?」


私「なんでもありません! お客さん待たせてるんで行ってきま~す!」



客「どのネコちゃんウサギちゃんからもふればいいのやら……」


私「おっきゃっくさーん! お探しのネコちゃんウサギちゃんはどんな子ですか?」


客「できればもふもふのやつで……」


私「お客さん! 当店は、全ネコ全ウサギがもふもふとなっております!」


客「ななな、なんですってぇぇぇ〰〰!! それじゃ決められないじゃないか!」


私「チッチッ。お客さん、もふもふは全部一緒じゃないんです。見てくださいお客さん。もふもふはもふもふでも、毛色、毛量、大きさなどなど、全部が個性であふれてます! しかも! 当店では全ネコ全ウサギが、もふもふし放題! たくさんのネコやウサギがもふもふできちゃいます!」


客「最高の店だああああああああああああ!」


私「さらに、次回からも楽しんでいただけるようなサービスもありましてー」


客「はいはい」


私「今回、もふもふしていただいたネコちゃんウサギちゃんの中で、またこの子をまたもふもふしたい! というのがありましたら優先的に次回もその子をもふもふさせてあげちゃいます!」


客「なんですと!」


私「でももちろんその子だけじゃもったいない! ということで次回からもぜひたくさんのネコちゃんウサギちゃんをもふもふしてください!」


客「はい!」


店長「おいフレン。ちょっと来い」


私「はい……」


店長「まだお客さんは1匹ももふもふ出来てないんだ。それなのに次回の話なんてしたら……」


私「はっ! ダメだ! もふもふ欲望が爆発しちゃう!」


店長「そうだ!」


私「ごめんなさいお客さん! もふもふはやくしたかったですよね!」


客「いえいえ。……でももふもふはしたいです!」


私「ですよね!」


客「それであのぅ……初心者でももふりやすいもふもふちゃんはどの子でしょうか?」


私「それならぁ……この子はどうですか?」


客「これは…………」


私「人懐っこい茶トラネコちゃんです!」


客「ぐわぁ〰〰! もふもふだあ! こんなにもふもふしてていいの? 大丈夫? ねえなんでこんなにもふもふなんだよぅぅぅぅぅぅぅ!」


私「もっふもふのもっふもふです」


客「もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふぅぅぅ!」


私「もふもふを楽しんでいただけて幸いです!」


客「こちらこそありがとうございますぅぅぅ。もふもふすぎるぅぅぅ! ヤバいぃぃぃぃ!」


私「大丈夫ですか? もふもふ中毒は危ないですよ! 私は何度もなったんですが、あれはもう恐ろしくて……」


客「もふもふもふぅぅ……もふぅ……もふぅ……はぁはぁ、よかった。落ち着いた」


私「よく頑張りましたお客さん! 欲望を抑えてこそ本物のモフニスト!」


客「ありがとうございます! それにしても本当にすごいですね……縞模様がとても美しくて……」


私「そうなんです。うちの店、毛並みを整えるプロがいますので!」


?「ふ、フレンちゃん! ぷ、プロだなんてそんな!」


私「お客さん! ほらあそこにプロが!」


?「ひやっ!」


客「プロの風格がありますね」


私「はい! 彼女はクルミちゃんです! 彼女もモフモフが大好きで……」


クルミ「もうやめてフレンちゃん! 私陰でこそこそやってるのが一番なので……」


私「ああやって人知りなのです!」


客「ああなるほど……」


私「そうなんです!」


客「あ! そういえばモフモフに気を取られていましたが、ここカフェなんですよね?」


私「そうなんです! もふもふしながらコーヒー飲めます」


客「コーヒー……私実は飲めないんです」


私「大丈夫! ジュースもあります! もともとはなかったんですが、私もコーヒー飲めないので、メニューに入れてもらいました!」


客「そうなんですね。じゃあ何かおススメのをお願いします」


私「ありがとうございます! ご注文承りました! じゃあ当店おススメトロピカルジュースをお持ちしますね!」


客「待っている間モフモフしててもいいですか?」


私「もちろんです! そこのアメショちゃんとか、そこのホーランドロップちゃんとか存分にもふっちゃってください!」


客「分かりました!」


私「てってれれ~、フレン秘伝のトロピカルジュース~」


店長「おい本当にそれ出すのか?」


私「はい」


店長「やめとけよ。お金取ってるんだぞ」


私「大丈夫です。めちゃくちゃおいしいですから」


店長「たしかにおいしいけど……」


私「おっきゃくさーん、お待たせしました! 当店一番人気トロピカルジュースです!」


店長「フレン、嘘は絶対ダメだぞ~!」


私「すみませんお客さん嘘ですごめんなさい!」


客「いえいえ。それだけ推してるってことが伝わりましたから。でもこれ……」


私「はい?」


客「液体見えないんですけど……ほぼフルーツじゃないですか?」


私「はい……それがなにか?」


客「これ……ジュースなんですか?」


私「ジュースと言う名のパフェ的な……?」


客「そ、そうですか……」


私「ご、ごめんなさい。パフェお嫌いでしたか?」


客「いえいえ。パフェ大好きです。でもお腹が……」


私「残ったら私がおいしくいただきますので…………エヘヘ」


店長「衛生面!」


私「ハイ! じゃああの……それは私がいただくとして、別のジュースに変えますね! 今もってきます」


店長「はいオレンジジュース。こうなると思って用意しておいた」


私「はいすみませんお客様。お詫びのしるしにこれを……お金は頂戴しませんので……」


客「いえいえ。私まだパフェ……じゃなくてトロピカルジュース? 飲んだわけじゃありませんし」


私「ありがとうございます心の優しいお客様あ!」


客「じゃあいただきます……ってこれ……」


私「どうですか……?」


客「めっちゃうまいじゃないですか……!」


私「ありがとうございます!」


客「このオレンジジュース、酸味が強すぎず弱すぎずで完璧です!」


私「店長を褒めてあげてください!」


客「店長さん! オレンジジュースめっちゃおいしいです! ありがとうございます!」


店長「お、おいしいだなんてそんな……何も特別なことしてないですよ」


私「店長はジュースをメニューに入れるからにはちゃんとやらなきゃって言って、めちゃジュースを研究してたんですよ」


店長「い、言うなよフレン! 照れるだろうが!」


私「えへへ。いいじゃないですかあ」


客「お二人仲いいんですね」


私「え?」

店長「は?」


客「みんな笑顔で楽しそう。こういう環境だからこそ、もふもふもふもふなんですよ」


私「もふもふもふもふ?」


客「そうですよ。あったかい雰囲気の場所じゃなかったら、もふもふがいっぱいいてももふもふする気になれません。本当にこの場所は良いもふもふカフェです」


私「あったかい…………もふもふカフェ……ありがとうございます!」


客「あ! もうこんな時間! すみません。今日は長居するつもりでなかったもので、用事があったのを忘れていました。今日は帰らせていただきますが、絶対また来ます! オレンジジュースは…………じゅっ。飲み終わりました! おいしかったです!」


店長「もう……おいしいだなんて…………」


客「お金はここに置いていきます。では――」


私「待ってください!」


客「はい?」


私「スタンプカードをお渡しします! お金がかかるわけですから、毎日のように来れないのもわかります。でもそのせめてものお詫びとして、スタンプカードをお渡ししているんです。5回――つまりあと4回来てもらえれば、その次来たときになんと半額でもふもふできます! 1個スタンプ押しときますよ!」


客「半額……⁉ それは……毎日のように来ちゃうじゃないですかあああ!」


私&店長「またのご来店お待ちしております!」


クルミ「し、しております!」


客「っ……絶対また来ます!」



 今日の一人目のお客さんが帰りました。


 それからもお客さんが入って来て、当店は大盛況です! モフモフは偉大です!



 明日はうちのカフェで、『ネコとウサギのもふもふエブリバディ』というイベントをやります! もふもふがいっぱいです!


 ぜひ見に来てくださいね!

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