海老名物語

星色輝吏っ💤

エピソード0 ~海老名が食べられた~

 海に浮く白い「もの」から、人間が「あみ」と呼んでいるものを投げられた。「助けてくれ」と叫んだが、人間には全く聞こえない……。


 ――海老名物語の始まり始まり。


 昔、ある海に海老名というエビがいた。

 それが僕。

 僕は網を投げられ捕まってしまった。

 それから、暗い場所に行きつき、気絶してしまった。

 次に目覚めた場所は、とても明るいスーパーだった。

 ほかのエビも一緒にいるのだけど、みんな死んでいる。

「僕だけ生きているの?」

 と、僕は言った。

 そしたら、怖そうなおじいさんがやってきて、僕たちがいるのをとって、上が開いた変な箱に入れられた。

 その後に、重いものや軽いものまで、いっぱい乗せられ、また気絶してしまった。

 そして今度目覚めた場所は、真っ暗な人間の家だった。

 ガチャッ。ドアが開き、あのおじいさんが入ってきた。

「さて、小腹がすいた。エビでも食うか」

 とか言って、僕の隣のエビを大きな人間の穴の中に、棒と棒で挟まれ、入れていった。

「鉄男~~!!」

 と、僕は叫んだ。

 鉄男というエビは白いものに挟まれ、粉々になり、深い暗い穴に入っていった。

 それから、どんどん僕の仲間たちが穴へと吸い込まれていった。

 とうとう、生きたエビの僕だけになった。

 僕は何の抵抗もできず、深い深い穴に入っていった。

「助けてくれ~~!!」

と、僕は言った。

 しかし、無論、人間には全く聞こえなかった。

 僕は死んだ。

 そして、僕の人生――いやエビ生は終わった…………。



 ――時は、遡る。

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