気侭な一人旅 Vol1-2
ジジッ……ジジッ……
「待たせたな」
「待ってた。ずっと」
「ごめんな。やっと逢えた」
「うん。やっと」
彼は両手を開き真っ直ぐあたしを魅詰める。
躊躇なくその胸に跳び込むあたし。
この辺で簡単では在りますが、あたしの事でも話そうかしら?
神駆絽 弥生 24歳 職業 OL 独身 彼氏無し。
俗に云う……
お独り様ですが何か?
えぇっ! そーですよ! モテないですよ!
彼氏居なくてすみませんでしたっ!
仕事に没頭するあまり出会いなんて在りませんでしたよっ!
オチツケ。 アタシ。
少々ワーカホリック気味の為、上司より有給休暇の消化命令が発動。
急遽、纏まった休みを頂戴致しました。
担当しているプロジェクトが一区切り着いていた。
次のプロジェクトは未だ準備に時間が掛かる。
所属部署の上司が人事部よりお叱りを受けた。
と云った諸事情が重なり異例の帳尻合わせ休暇と相成りました。
これが3日前の出来事です。
お仕事が忙しい時は休暇が取れない事への恨み節。
『有給取れたら何しようかなぁ~?』
『アロマのマッサージ行きたぁ~い』
『お寝坊してブランチしたぁ~い』
『新作のコレクションは高過ぎて買えないからウィンドゥショッピングでも……』
色んな妄想しながら現実逃避してたのだけど。
いざ現実として休暇を手に入れてしまったら……
『どーしましょ?』って。
『何しましょ?』って。
無駄に時間を持て余してしまう。無為な時間に弄ばれてしまう。
そんな何処にでも転がってる小市民なあたし。
我ながら重度のワーカホリックだったみたいだわ……
でもね? それでもね?
休暇の初日は未だ良かったのよ。
ずっと遣りたかった事が在ったから。
お天気が良いからお洗濯。お布団も干して。
お陽様の薫りを纏わせて。
手抜き気味で気になってたお部屋のお掃除を念入りに。
雑然として纏まりの無かった小物もきっちり整理。
趣味の一つのお料理でランチもしたわ。
バスタブにアロマ浮かべて薫りを愉しみつつ。
お気に入りをBGMに読書しながらリラックスタイム。
暗くなったら
ワインとチーズで優雅にまったり過ごす。
クラッシックを聴きながら瞼を閉じて。
ゆっくり時間が流れて全身の力が抜けるみたい。
充実した有意義な一日って自己陶酔してたわ。
あたしにもこんな
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