邂 逅 2

 貴男はあたしを優しくその両手に抱き立ち上がると

 静かにそしてゆっくりと歩き出す。

 決意の篭った確りした足取りで。

 真っ直ぐに何の迷いもなく。

 輝くアーチへ向かって。


 邂逅はじまりを告げる鐘が鳴り響く。

 そんな祝福と祈りに満たされた

 十彩といろの音を聴きながら。


 この瞬間ときから二人は始まる。

 はじめられる。やっと。

 輪廻すれちがいを繰り返し巡り逢えた。

 未来永劫と想えるくらいの永遠ときを超えて。

 遂に出逢えた二人の。

 二人で紡がれる物語を。



 貴方に立ち逢って欲しい。

 貴方に魅了みとどけて欲しい。

 願わくば祝福の祈りを捧げて欲しい。


 そして貴方にも運命の邂逅を果たして欲しい。


 その瞬間ときあたし達二人に

 祝福の祈りを捧げさせて欲しい。

 貴男と貴女に。



 プロローグにしてエピローグ。

 はじまりの終わり。


 いまここから紡がれる物語ストーリーのプロローグ。

 

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