NYAST! - ニャスト -
星色輝吏っ💤
第1章
第〇話 プロローグ(?)
――とある日の、とある場所での出来事だ。
「僕と! この超かっこいい僕と付き合ってください!」
「――ごめんなさい」
「な、何故だ? 俺はこんなにもかっこいいのに! イケメンなのに!」
「お気持ちはうれしいです。それに……凄いイケメンで……私のタイプです。でも、脇毛が汚いです」
「…………は? 何を言ってるんだ……?」
「先月の29日に、あなたの家の風呂場の窓に小さな穴を開けました。そして31日、あなたが旅行へ行った時に、そこに最新の超小型カメラを取り付けました。それで……旅行から帰ってきたあなたのお風呂場えちえちシーンを覗き見しました」
「ふぁ? ……えぇ……? ……はあああ⁉ どういうことだよ⁉ そのカメラ今もまだついてるのか?」
「いいえ。覗いてすぐに外しました。脇毛がなければ私から告白するところでしたよ」
「でしたよじゃねえよ。君…………嘘だろ」
「本当です」
「まさか本当に⁉」
「はい。私、非常に珍しい脇毛で彼氏決める系女子です」
「そっちじゃないんだよ。立派な不法侵入だ。それに盗撮。訴えるぞ!」
「訴えられるもんなら訴えてみろです。私の誘惑に負けて私を通報できた人なんて今までだれ一人も――」
「えーと、1、1、0っと。――あ。もしもーし。……はい、事件です。……はい。お風呂の窓に小さな穴が開いてて、覗き見されたらしいんですよ。……はい。心当たりですか? 心当たりがちょうど今俺の目の前にいるんです。……はい。『自分でやった』と言っていますが、全く反省しておらず自首するつもりはないという事なので……あ、はい。分かりました。住所は――」
「え⁉ ちょっ、まじっ、冗談でしょ」
「あ、ちょっと黙ってて」
「えっ⁉ それ、マ? 何で……」
「――あ、失礼しまーす」
「え……ねえ……あの…………嘘だよ……ね?」
「本当だけど」
通報後、彼女は逮捕され、きちんと罪を償ったそうだ。
――このしばらくというかだいぶ後の、主人公が “奇跡の人” をなぜか忘れてしまう頃から物語は始まる。
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