その恋を、俺達は語らない2

10章 元カノの妹

第38話 プロローグ

 ―人生、何が起こるか分からないものだ。

 中学で彼女が二人出来たと思ったら、その両方に速攻で振られる事もあれば、その元カノ達と同じ学校に通う事になった挙句、同じ部活に入る事だって無くはないだろう。


 その上で言わせてもらうが、俺は決してモテるような人間ではない。

 当時の女子達の反応を見ればそれは一目瞭然で、女子が作り上げた男子のランキングになんてかすりもした事が無い。


 ちなみに、これは同級生だった女子からの話だし、信用出来るツテからの情報だから間違いない。さらに言えば、女子に話し掛けられた事も少ない上、その時々でわざわざ名前を確認される始末だ。


 日本の人口は約一億人居るという話だが、その中で女性はその半分。

 少しばかり男性よりも人口が多いという統計が出ているらしいが、それでも約五千人の中で俺を好きになる女なんてほとんど居ないだろう。


 にもかかわらず、何で俺に彼女が二人も出来たのか?

 さあな、そんなもんはこっちが聞きたいくらいだよ。好きだから付き合ったのかも分からんし、実際に振られているんだからな。


 女なんてものは信用出来ない。

 告白されたから付き合って、それで振られて……俺の心に深い傷を付けた。

 別に恨んだりはしない。ただ、信用しないだけだ。

 理由があって俺と付き合う必要があって、それが無くなったから俺と別れた……ただそれだけ。


 人生、何が起こるか分からないものだ。

 高校に入学したばかりの十七という身で言うのも何だが、それはひしひしと感じている。


 そんな俺の考えを助長するように、俺のすぐ目の前でまだ幼いながらも顔立ちの整った女子が顔を赤くしながら立っていた。


「―あの、先輩」


 そこには気を張った空気が流れ、ともすれば今にも泣き出してしまいそうな空気が溢れている。まるで、これから告白でもするんじゃないか……そんな雰囲気すら感じられた。


 そう、告白。

 俺が経験して、期待して……そして絶望した行為。

 元カノ二人から告白され、向こうから別れを告げられたトラウマのような出来事。


 それが何の因果か、高校に入学したばかりの俺が同じように女子の一人に呼び出され、告白されそうになっているのだ。どこか元カノの一人に似たその顔を見ながら、俺はその先の言葉を待っていた。


 人生……何が起こるか分からないものだ。

 ただ、それでも―


「―良かったらその、私と付き合ってもらえませんか?」


 中学生に告白される事なんて、多分そう無いんじゃないか?


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 作者的に気に入っている作品の一つなので、気が向いたら更新していく感じで趣味としてゆるくやっていきます。

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