中学時代
美術部に入り、勉強にもちゃんと向き合った。勇気をだして親の前で「俺」と一人称を変えてみたが嫌そうな顔を隠しきれない親から「いいんじゃない?」と言われた。
あの時は絶望したなあ。
けど、嘘つきは変われなかった。初めて私に声をかけてくれた子にすぐに嘘をついてしまった。
皆、可愛い女の子だった。
その中でも、同じ美術部よ優しくて冷静で頭の回転が早くて明るいあの女の子のことを好きになった。
でも私は人と違うから。
男でも女でもないから。
性別問わず好きになるから。
そんな私が君のことを好きだと言ったら迷惑だろうから言わなかった。
だから距離感が近い友達を演じた。生憎嘘をつくことには慣れていた。
けど、地獄はそれだけではなかった。
例えば校外学習の座席決め。男子と女子に別れてやると言われた時のどちらにもなれない自分の孤独感。これはあまりにも辛くて母親に泣きついた。その時の母親の言葉は今でもおぼえている。
「男女は平等であって同じ性質ではないんだよ。」
欲しい言葉ではなかった。同情も、否定もして欲しくなかった。
絶望の一言だった。
その数ヶ月後、私は1人の友達に打ち明けた。性自認のこと、恋愛対象のこと。
その子は同情せず、否定せず、ただ「分からない」と言ってくれた。
今まで希っていた存在だった。
その子とは高校進学の際に道が別れたが。
そしてこの時から私は夢を持った。
こんな社会を生きるなら、もういっそ死んでしまおうと。でも色んな経験はしたいから、成人して10年、つまり30歳の誕生日に死ぬことだ。
さて、お次は高校生活のお話をしようか。
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