勇者に寄生してました~反省していますので、ダンジョン造って国に貢献します~

コロコロハナビ

第一章

第1話 愚かな荷物持ちの改心


―――俺は楽して稼ぎたいから勇者に寄生しようとしているダメ人間である。





 俺は美しい水の国【アクアディーヌ王国】で生まれ、両親に【マギ】と名付けられた。父は国の魔法研究所の平職員で母は専業主婦をしているごく普通の家に生まれた。


 俺たちの国では7歳になると教会で、どのような才能があるか調べるならわしになっている。【ステータスカード】と言う自分の能力がわかるマジックアイテムが有り、これに自分の血を付けると情報がわかるようになる。

 これは教会が管理していて調べたあと貰う事が出来る。情報は常に更新されるからわざわざ協会に行かなくてもいい。


 そこで俺は、時空間魔法というかなり珍しい魔法が使えることがわかり、父は凄く喜び俺の魔法を研究したいと言い出すが、その時の顔がヤバかったので母に助けを求めた。その後父が無茶しないから大丈夫だと言ってきたが、その時の父の顔が別の意味で大丈夫ではなかった。恐らく母にボコボコに殴られたのだろう。


 その後、常識の範囲内で研究に協力してあげた事により、見た目よりたくさん物が入るマジックバック等が生み出され、かなりの額の報奨金が入ってきたりといろいろあった少年期だった。


 この世界の事を説明すると各地に無数にダンジョンが存在している。ダンジョンは様々なタイプがあり、森や洞窟のタイプが一番多く少ないが塔や城も存在している。


 魔物がダンジョンの外にも出て来て危険なため、近くの街には防壁があり、魔物を討伐するための組織【冒険者ギルド】というものがある。魔物は倒すとドロップアイテムという物を残しそれを売って生計を立てている。


 何故なぜこのようなものが存在しているのかというと、よくわからないが神様がよどんだ魔力を綺麗にするために一度、魔物という形にしてから倒すという過程で綺麗になると教会の神父様がいってた。

 

 その中で一際ひときわ大きな城に住むとても強い魔物が、多くの魔物を生み出し周辺の街にとても大きな被害が出た。


 その時の戦いで騎士や兵士や雇われた冒険者などに多くの犠牲が出たうえ魔物を討伐する事が出来なかった。


 その魔物の強さや魔物を生み出す力を脅威とし、国はその魔物をと呼び倒した者に褒美を出すと言ったが、討伐出来たものは現れなかった。


 俺は冒険者になりたかったが、両親は危険だからこの魔法を生かして行商人になったらどうだと言ってきた。


 取り合えずやってみて、無理そうなら行商人をやってみる。と両親には言って説得した。


 冒険者になるために体を鍛えようかと思ったが辛かったのでそこそこにしておいて、魔法の訓練の方に力を入れた。もう心が折れそうだ。


 俺が10歳になった時、父が興奮して「勇者が現れた!」と騒いでいた。勇者とは何かと聞いたら「聖剣召喚という特別な召喚魔法が使える者で、いつか魔王を倒すと期待されている者だ!」といった。


 ガキである俺はそれを聞いて、いけすかねぇ奴だと思った。理由は何かいけすかねぇ奴と思ったからだ。そんなものだろう、ガキの理由なんて。


 そして、20歳になった俺は何をしているのかと言うと…………。



 魔法空間に倉庫を作れる【ストレージ】という魔法が使えるので勇者パーティーに荷物持ちとして同行させてもらている。


 俺は勇者パーティーならドロップアイテムをちょろまかして大儲け出来るのではないかと思い、魔王を討伐するために『自分も役に立ちたい‼』と熱く語り仲間に入れてもらった。今でも覚えている18歳の夏の頃だった。



 我ながらかなりのクズだと思うが、今俺は後悔している……何故かというと。


「マギありがとう!君がいてくれたおかげで魔王を倒す過酷な冒険も楽しかった」

と金髪でハンサムな勇者【アルマス】が感謝の言葉を言い。


「ストレージ空間では時間経過が無いのでいつでも温かい食事が出来ますし、小さいですがお風呂付の家を出したときは驚きました。とても感謝してます」

と長い銀髪が美しい少女、本物のお姫様(次女)であり聖女の【マリアンヌ】が優しく語りかけてくれて。


「時空間魔法は使い手が少ない。天才である私でも使えないからマギは凄い」

とエルフで自称天才魔法使いである青い短い髪でいつも眠たそうな顔をしている美少女【ククル】が俺を褒め称え。


「まぁ…あまり強くはないがよくやているよ。お前がギルドに依頼達成の報告とかドロップ品の売却とかやってくれるから戦いに専念できた」

と力が強いドワーフとのハーフで赤い長い髪をポニーテールにしている長身美女の剣士【ベアトリス】が俺がいろいろ雑務をしてくれることに礼を言ってくれる。



 そんな状況に俺は…………。



(ああぁぁぁぁぁ~心が痛いぃぃぃぃ!!!!!)

と心の中でのたうち回っていた。


 どうせ勇者なんて、自分の力に溺れて傲慢な嫌な奴か腹黒い奴に違いないと思っていた過去の自分をぶん殴りたい。


 いつか本性を現すと思いちょろまかしていたわけだが、パーティーに加えてもらってから2年の月日が流れ、ついに魔王を倒してしまった今、本当にいいやつだったとわかり焦っている。今更言えないし。


 魔王を倒す為に結成されたパーティーだから、目的を果たした以上もう解散し新しい道へとみんな進んでいくだろう。


 このまま隠居して贅沢して暮らすことも出来るが、申し訳なさすぎるから何かちょろまかした金やアイテムを使って出来ないかと考えていると


「魔王も倒したし、王国に戻って国王様に報告しないといけないけど、その後みんなはどうするんだ?僕は王国の騎士団に入る予定だけど」


と勇者様が聞いてきた。


わたくしは戻った後はお城で姫としての職務につきますわ」


「私はしばらくのんびりして魔法の研究する」


「私は冒険者生活に戻るかな」


とそれぞれ今後の道について話していた。


そして「マギはどうするんだ?」と聞かれ。



「俺は…………ダンジョンを造ろうかと思う」



「「「「ダンジョンを造る?」」」」


「あぁ……この城にいままで冒険してきて集まったアイテムを使えばもしかしたら造れるかもしれないと思ってな」


 それらしい事を言っているが結構てきとうに言っている。出来なかったら「やっぱ無理だった」と言えばいいだけだし、てきとうに言ったが面白いかもとも思っている。


「でもダンジョンなんて造っても意味あるのですか?もうすでにありますよね?」


 マリアンヌがわざわざ作る必要があるのか聞いてきた。もっともであるが、そのわけについては俺の灰色の脳細胞がそれなりの答えをすでみちびいている。


「ちゃんと意味ならあるぞ。管理されたダンジョンだから安全に新人の兵士や冒険者を訓練出来るし、欲しいドロップアイテムがあったら自由に魔物を配置出来るから、それ専用のフロアを造れる。あと何か新しい発見があるかもしれないから何かしらの研究とかはかどるかもしれない」



 ―――素晴らしい言い訳である。



「―――なるほど。管理されたダンジョン…………。確かにそれならやってみる価値があるかもしれないですね」


 お姫様は納得してくれたらしい…………よかった。


「それ、おもしろそう…………私も一緒にやる」


「え゛っ」


魔法使いのククルがとんでもないことを言い出した。一緒にやるといったのか?


「しばらくのんびりして魔法の研究するんじゃないの?」


一応聞いてみる。


「のんびり研究しながらダンジョンつくる」


「…………わかった。まぁ俺も急いで造ろうとは思わないし、のんびりやっていこう」


 ―――まぁそこまで拒否する必要もないしいいか。


「ダンジョンを作るとか変なことを考えるなお前は。だが面白そうだな、冒険者として活動しながら何か手伝ってやる。どのくらいの強さの魔物を配置すればいいか見てやろう」


剣士のベアトリスがおもしろそうに言ってきた。


「そういうことなら国王様や冒険者ギルドに言えば支援してくれるかもしれない。凄いなマギ!!そんなことを考え付くなんて!!」


何やら話が大きくなってきたな。そこまで考えてなかったし、そこまで望んでないんだけど…………。ちょっと早まったかもしれない。


「いや国王様とかに言うのはちょっと待ってほしい。出来るかまだわからないしあまり期待されても困るからな。」


「そうですね、ある程度見通しがついてから報告したほうがよいと思います。」


 マリアンヌが賛同してくれた。助かった~。


「まぁ取り合えずここで話していてもあれだから王国に帰ってから話そう。」


まだ魔王城に居た俺たちはやっと王国への帰路についた。

























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