第6話_有栖の試練

松井 有栖(まつい ありす)、32歳。

私はいわゆるバリキャリ系研究者だった。

30歳の若さで准教授に任命され、3度の飯より研究にのめり込んでいた。


世の中の全ての生き物の遺伝情報を解明したい!

あるときはジャングルに渡り新種の生物を見つけたり、あるときはヒトの生命の神秘を解明したり、研究オタクの私には夢のような研究テーマが世界中に溢れていた。


私が執筆した生物図鑑は10冊を超え、有識者としてテレビのコメンテーターを務めたこともある。


初めて訪れる土地には見たことがない生物が溢れていて、私の知的好奇心を満たしてくれる。

飛行機をチャーターして、少人数の研究班でアフリカの山奥を訪れようと向かっていたところ、旋風に煽られて飛行機は墜落。


墜落しているとき、雲の中に不思議な生き物がいるように見えた。

あぁ、あの生き物を研究してみたい。


神様、お願いします。

出来れば雲の中の生き物みたいな不思議生物を私に研究させてください。

こういう時、何か試練を乗り越えたら転生させてくれるのかしら?

どんな困難も私が解決します。研究者の誇りにかけて!

だから次の生でも研究を!不思議生物を研究させてください!


◆◆◆◆◆


そして有栖はアリスと出会う。


(自分が憎い。自分が赦せない。こんな自分いなくなってしまえばいい。

お母さんは怒るかもしれないけど、もう一緒に逝かせて。悪い娘でごめんなさい。)


あぁ、きっとこれが神様からの試練なのね。

絶対に私が解決して見せましょう。


「さあアリス、私と一緒に闘いましょう」

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