第5話_前世の私との融合

『あなたが悪いわけではないわ!』


頭の中で別の声が聞こえる。

(誰かわからないけど、私の所為でお母さんは死んだの。もう生き返ったりしないのよ!)


『本当にあなたの所為なの?あの女貴族の所為ではないの?』


(あの女は貴族だもの。仕方ないわ。)


『貴族だからって何をしてもいいの?そうやって身分を理由に諦めてしまうの?』


(・・・・・・)


『私は前世のあなた。あなたは私。私はあなた。一緒に闘わない?あの女や世の中の理不尽と。』


(私にできるの?)


『私たちならきっと出来るわ。2人の人格を混ぜ合わせることになるけどいい?』


(全てを諦めていたのよ。人格が混じるなんて瑣末なことだわ。)


『ではいくわね』


(『絶対赦さない。一緒に闘いましょう。』)


◆◆◆◆◆


アリスは豪華なベッドで目を覚ました。

ここはどこかしら?


「お嬢様。お目覚めですか?私の声が聞こえますか?」

心配そうな顔で覗き込む、白髪まじりで品のよさそうな女性がいる。誰だろう?


思わず後ずさると、女性は姿勢を正してにこやかに挨拶をしてくれた。

「初めまして、私はスチュアート公爵家でメイドを勤めますエリーナと申します。

アリスお嬢様のお世話をするようにと公爵閣下より任命いただきました。

どうぞよろしくお願い致します。」

見惚れるくらい綺麗な所作だった。

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