第8話 幼馴染のメイドちゃんが同居人になりました

「お、お前俺たちの家に住むのかよ」


「はい。そうですが」


 なんでこいつが俺ん家くるんだよぉ


「多分今頃、お手伝いさんたちが私の荷物を運んでいるころだと思いますよ?」


 あやべぇこれ断れないやつだ。


「そ、そうなんだ」


 そうあきらめたような声を出した。実際俺は一緒に住むのは別に絶対いや、と言う訳では無いのだが夏帆は違ったようで。


「ダメです」


「えぇ、お願いしますよ」


「ダメですぅ、そもそも私とお兄様が一緒にするための家なんですから。他の人はお断りです」


「それって、私に颯詩様を取られたくないだけでは?」


 とにまにましながら返す真衣に顔を赤くしながら


「ち、違いますぅ」


 と言う夏帆


 と言うかさっきから周りの人からの視線が痛い。それともうすぐチャイムが鳴理想だった。


「と、とりあえずもうすぐホームルーム始まるからそろそろ行こう?」


 そう言うと二人はすぐに切り上げ、教室へと向かった。


               *


 やっと静かになると思っていたのにさっきからずっと夏帆と真衣が騒がしい。

 

 真衣が夏帆をからかい夏帆が赤面する。そんな尊いやり取りだが俺の席の前の席が夏帆で後ろが真衣と言う席の関係のため俺は二人に挟まれながらやり取りを見ていた。


 騒がしいあとやっぱり視線が痛い。今日だけで何度目線に刺されただろう。


 二人がやり取りをしているのは別にいいのだが声が大きい。そのせいでクラスで注目の的になる。さらにそれを聞いた別のクラスの生徒もやってくる。


 そして俺が目線で刺されると、一番の被害者俺じゃん。


 そんなこんなで学校は終わり今は家にいる。


 帰りも相当修羅場だった。夏帆が右腕、真衣が左腕にしがみついてきてその状態で家まで帰ったのだからな。


 家に帰ると俺と夏帆の部屋に真衣の荷物が運び込まれていた。


 元々二人で使うのには広すぎるほどだったのだが一人分狭くなっても十分広いのだが、それでも少し狭く感じてしまう。


 三人分の勉強机に三人分の本棚、そして二段ベット。ん? ってえ? 二段ベットは?


 部屋にはいつも夏帆と俺が使っていた二段ベットがなくなっていた代わりに三人分のベットが用意されていた。


「な、なにこれぇぇ。二段ベットがないじゃないですか。」


 夏帆が驚きながら残念そうにそう言う。


「そうですよ。私が新調してもらいました。」


「俺はこれはこれでいいと思うぞ」


「まぁ、そうですね。」


 と夏帆も続けて言う


「なんだか寝るのが少し楽しみだな」


「そうですね」


 と真衣に返される。


「なあ真衣ずっと思ってたんだがその敬語外したら?」


 とずっと気になっていたことを言う



「でも、私一応お二人の使用人になったので」


「それ以前に俺たちは幼馴染だろ? 幼馴染に敬語はいらねえよ」


「そ、そうですか? あ、ありがとう」


「そう、それでこそ俺たちの幼馴染だ。」






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ある日、妹が許婚になった。 猫飼 ねこ @nekokaineko

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