ある日、妹が許婚になった。

猫飼 ねこ

許婚とメイドちゃんと同棲

第1話 入学式

 四月の春、一年の中でいつもこの季節が来ると嫌な記憶が蘇ってしまう。


 思い出したくなくても忘れたくてもこの季節になるといつも思い出してしまう。


 特に今年は何度も夢に出てくる。まるで忘れるな、ちゃんと向き合えと言われているようだった。


 今年から高校生になる俺、夏目颯詩なつめそうたは憂鬱な気分で高校へと向かっていた。


 主な理由は二つある一つは昨日の夜嫌な夢を見てしまったのだ。それもただの夢ではなく、とても鮮明でまるでその時その場所に自分が本当に居るかのような夢だった。


 二つ目は嫌な夢を見てしまったせいで少し寝不足なのだが問題は今日が高校の入学式だということだ。


 今頭の中は眠いということと今日の入学式の事でいっぱいだ。


 式中寝ないようにすることやまだ考えていなかった自己紹介のスピーチで何を言うかなど色々なことを考えているうちに高校に着いてしまった。


 校門をくぐり下駄箱前で靴を履き替え校内に入るとホールのような広い場所に出た。


 そこにはクラスと出席番号が書かれた大きな紙が貼られていてその下には自分のクラスが書かれた看板に一列で並ぶようにと書かれていた。


「俺のクラスは三組で出席番号が十三番か」


 クラスと自分の出席番号を確認し終え三組の列に並ぶ


 どうやらほとんどの人が既に揃っているらしく五分もしないうちに全員が揃い学年主任の先生が入学式について話し出す。


 その後一通り話が終り少し待っていると先生の指導により式が行われる体育館へと向かう。


 体育館に入り式が始まり校長先生の話と来賓方の話が終わり次は新入生代表の挨拶が始まった。


 例年どうり新入生代表の挨拶は入学試験で最も得点の高かった生徒が行うようで一人の見知った少女が前へ出た。

 

 彼女は動きの一つ一つが鮮麗されており一寸の狂いもない完璧な動作でステージの上に立ち挨拶を始める。


 彼女は入学前から試験で過去最高得点をたたき出し、更には美人で運動もできて完璧超人だ。

 それも相まって彼女は色々と注目されている。


 彼女の挨拶はよく考えられており聞く人をひきつけ聞いていて退屈しないような完璧な挨拶だった。


 彼女の挨拶が終わり一礼をした後一瞬こちらに視線を向けた気がした。


 入学式が終わり退場した後は思っていたとうりそれぞれのクラスでの学活の時間が始まった。


 ホールのような場所で張り紙を見たときにはきずかなかったがどうやら新入生代表の挨拶の彼女も一緒の三組だったらしい


(寄りによってこいつと同じクラスか、最悪だな)


 そう、彼女は俺の苦手、いや嫌いと言った方がいいだろうかとにかくそんな人だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る