第58話

ワルシャワ男爵は必死にあれやこれやと言い訳を続けるが、どれも支離滅裂なものばかりで話にならなかった。


マリーナとリアムは目を合わせると、コソコソと会話をした。

「また改めて出直そうぜ?」リアム

「いいえ、そんなことしたら、大事な書類がなくなってしまいますわ。」マリーナ


「でも、なかなか説得が難しそうだぞ。どうするんだ?」リアム

「面倒なんで、一気に全員の意識を刈り取ってもいいですか?」マリーナ


「君は見た目と違って中身は強烈なんだな。少し前から気づいていたが。。」リアム

「だってその方が早いじゃないですか。」マリーナ


「あー、頼むから無茶をするな。あと1回確認して男爵が応諾しなかったら、残虐レベル1までの魔法を許可する。レベル1だから拘束系のみだぞ。」リアム

「はーい!水球を片方の鼻に入れる程度のごう、じゃなくて、説得はありですか?」マリーナ  


「笑顔で尋ねるな、怖いから。お前、ほとんど拷問って言いかけてただろ。そんなのはレベル2以上だ、馬鹿者。レベル1まで厳守だ!」リアム

「ちっ、じゃなくて、はーい!」マリーナ


内緒話をしていたはずの2人だったが、内容は部屋にいた皆に筒抜けだった。

青い顔をした男爵に、マリーナが営業用の笑顔を向けると、男爵は怯えて後ずさった。


「ワルシャワ男爵様、家宅捜索を始めますね。よろしいでしょうか?」


男爵は返事を躊躇いながら少しでも時間を伸ばそうと考えていたが、マリーナの質問から5秒後、屋敷にいた関係者全員の腕と脚には拘束具、口には猿ぐつわ、周りには牢が出現していた。


「あ、言い忘れましたが、無言は拒否ととらえますね。さあ、リアム。一緒に調査を始めましょう。」


ワルシャワ男爵の声にならない叫びが響き渡ったのであった。

リアムはこの捕縛が越権行為にならないかを本気で心配して、胃を痛めていた。

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