第56話
執事ネリーの犯行が確定したことで、ワルシャワ男爵はひどく動揺している様子だった。
このまま男爵が保身に走るのか、罪を受け入れるのかで、対応を変えましょうか。
マリーナは誘導するように会話を続ける。
「さて、ワルシャワ男爵様。あなたは執事の犯行を理解したわね。これからどうされるのかしら?」
男爵は頭を掻きながら、額をおさえる。
「執事に裏切られて、落ち込んでおりまして。少しそっとしておいていただけませんか?」
この男、領主としての自覚はないのかしら。自分の行いが犯行を招いたことに全く自覚がないわ。
「あなたは被害者ではありませんわ。私はどのように償うのかをお尋ねしたのです。」
ワルシャワ男爵は目を見開く。
「私は何も知らなかったのです。何の罪に問われると言うのですか?」
これはダメね。
「あなたはこの領の主人。この領で起きたことの全てはあなたの責任です。特に執事の件は、あなたの監督が不十分だったから起こったものですよね。重要書類の確認は当主が行わなければいけないと言う法律にも抵触します。それでも被害者だと言うのですか?」
男爵はなおも反論する。
「私は悪くない。私は書類の確認が苦手なのだ。代理で確認ができる人材を雇って任せていた。それの何が悪いのだ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます