第50話
空間破壊で脱出した囚われ人らは、無事にそれぞれの故郷に帰っていった。
彼らはマリーナを女神と崇め、故郷で語り継いでいくのだった。またそれは別の話。
その頃、ワルシャワ領主は急な知らせに震撼していた。
「何?領主館の離れが消失しただと?」
あれは隣国のナンダッテ子爵家から来た戦闘集団が寝泊まりしている場所だ。
危ないので近づかないように戦闘団の代表から言われていたが、離れが消し飛んだのだから、そっとしておくわけにはいかない。
使いのものに見に行かせると、建物は垂直に切り取られたようにくり抜かれており、深く抉られた地下には牢屋らしきものの残骸が残っていた。
そこには誰もおらず、まるで局所的な天災に襲われたようだった。
突然起こった災いに呆然としていると、ナンダッテ子爵家から手紙が届いた。子爵を継代したから挨拶に来たいとのこと。
ワルシャワ領主はいなくなった戦闘団のことや、戦闘団が担っていた治安維持業務をどう維持していくのかなど、ナンダッテ子爵に詰めたいことが山ほどあったため、すぐに面会を許可した。
◆◆◆◆◆
翌日、マリーナが従者役のリアムを伴い、見事な魔道馬車でワルシャワ邸を訪れた。
領主邸の使用人は初めて目にする魔道馬車にまず驚き、中から出てきた新子爵が黒髪黒目の美少女であったことにさらに驚きつつも、平静を装いながら対応した。
マリーナを案内するため、領主家の執事が出てきたが、なぜか彼の笑顔をとても胡散臭く感じてしまう。一抹の不安を抱えながらもマリーナは領主邸に入っていった。
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