第40話

「いえ、これは兎印の雑貨店のものですよ。」


「あの噂のか!差し入れ感謝する。君は?新しい事務補助スタッフか??」


「いえ、魔法師団に体験入団をさせていただくことになったマリーナです。

オリバー様に案内いただき、先ほどご案内いただきました。

体験期間は2週間です。どうぞよろしくお願いいたします!」


一気に挨拶を済ますと、皆がマリーナを見つめて、口々に声をかけてくれた。


「私、シンシア!よろしくね!差し入れありがと。」

「俺はリアム。よろしくな。」


「この部署を希望するコなんて、滅多にいないのに珍しいね。私は室長のソニアよ。よろしく。」


ソニアさんと話し合い、マリーナの体験は、あの子爵家のある国に面した領の税金の調査になった。

全体的に税収が低すぎるように思える一方で、これまでの調査では問題点を発見できていないそうだ。


人で不足もあって、これ以上の調査をするリソースはないと半ば諦めていたところに、渡に船だったそうだ。

私にできるか分からないけど、前世を活かして数字を洗い直してみよう。


*****


早速謎解きに取り組むことにした。


これは最近開発した表計算魔法エクサルと印刷魔法を使えそうね。

マリーナは先輩から引き継いだ書類を全てスキャン魔法で魔子化(電子化みたいなもの)して、種類ごとに時系列で分別・整理した。


量の産業別に、人口やお金の流れを描画していき、大まかな損益計算表のようなものを作成すると、印刷魔法でレポート化して資料を眺めてみる。


あれ、ここの数字が実績と大きく乖離しているわ。

もしかして、物資が隣国に搾取されている?


まずは根拠となるような情報を集めないと。

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