第31話
あの家の者たちを捕獲した後、カイン一行は家の中を調べていた。
「殿下、こちらに隠し通路のようなものがございます。」
子爵の部屋のカーペットをめくると、スイッチがあり、それを押すと、地下に続く階段が出現した。
「危ないので私が行って参ります。」
騎士の1人が先行することを進み出て、様子を見に行った。
騎士が地下を進んでいくと、腐敗防止の魔道具と思われる大きな筒の中に、
透明の液体に眠るように浮かんだ幼児の遺体と、エネルギー供給元だと思われる容器が多数あった。
一旦、カインらに報告に戻り、一行と一緒に地下に戻った騎士は、エネルギー供給元の容器を開けることにした。
「殿下、皆さん、少しお下がり下さい。容器を開けます。」
皆が見守るなか騎士が1つの容器を開けると、なかなか子供1人分の白骨が出てきた。
「これはひどいな。」
カインが後ろからつぶやいた。
容器の中には魔力封印の拘束具と思われるものや、魔力を吸い取る管のようなものが残っており、
この子供は生きたまま長い間命が尽きるまで、魔力を搾り取られて続けたのだろう。
他の容器も同じように子供が入っており、全部で18人分が見つかった。
あの子爵家で養子となっていた20人のうち、マリーナ、ミリアムを除けば18人なので数はあう。
そして、腐敗防止をかけられている幼児は、おそらく子爵夫妻の本当の子供であろう。
確か3歳の時に、病で早逝したと聞いたことがある。
「自分の子供の遺体を保存するためだけに、他の子供の命を使うとは。愚かな。」
カインらはことの顛末を陛下に報告すべく、王宮に戻った。
◆◆◆◆◆
その頃、マリーナの雑貨屋・冒険者向けのお店には長蛇の列ができていた。
「美味しい保存食があるらしいぞ!」
「俺は、水を持ち運べるマジックバックがあるって聞いたぞ!」
「私は、店員さんが神がってカッコいいと聞いたわ!!」
おかしな声も聞こえるが、モリソンによる顧客掴みはうまく行っていそうなのであった。
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