第29話
マリーナ美容店の仲良し従業員3人組は、お互いに顔を見つめあって驚愕していた。
「メイサ、あなたはそんなに綺麗だったっけ?」
「アニーこそ!サリーもなんか見違えた感じだわ!」
「肌がモチモチしてます!」
「これは革命だわ!!早く店長とモリソン様に伝えなきゃ!」
◆◆◆◆◆
3人が出勤し、美容品の効果の凄さをマリーナとモリソンに伝えると、
マリーナは「自信作なの!効果を感じてもらえてよかったわ。」と胸を張った一方で、モリソンは頭を抱えていた。
「モリソン様、どうかされましたか?」
マリーナが尋ねると、彼は「小さな声でそんな効果聞いてない」とつぶやいた気がしたが、すぐに経営方針を再策定すると発表した。
そんなに高い効果の美容品を、貴族向けではなく一般向けから発売することは、いろんな貴族の反感を買うことになるのだそうだ。
「店長、貴族向けの美容品に特別感を出す事は可能でしょうか?一般向けと貴族向けを分けて販売すべきだと思います。」
「では貴族のお客様は会員制として、すべて訪問販売とし、訪問時にお客様のお好みの香りをお尋ねするというのはいかがでしょうか?その場で美容品にお好みの香りを付与するのです。」
「そんなことが可能なのですか?」
「はい、ダンジョンで採取したいろいろな種類のハーブやお花を使って、世界に1種類だけの香りを調合することができます。」
「それは素晴らしいですね!そうしましょう。まずは貴族のツテに連絡をしなければ。
店長!化粧水、乳液、美容液の3点セットを主要な貴族の奥様方に試供品として提供することに許可をいただけますか?以前お作りになっていたうさぎ型の容器に入ったものを使いたいと思います。
メイサは、贈り物を包むのに使う巾着袋とリボンを、貴族街のお店から買ってきてください!
アニーは、ロシナンテ公爵家とヒルデガルム侯爵家に、私からの手紙を届けて下さい!
サリーは、ターコイズ伯爵家とリーゼライン伯爵家に、私からの手紙を届けて下さい!」
「「「「はーい!!」」」
モリソンの采配によって、社交界の華と言われるご婦人たちに、マリーナの美容品が届けられたのであった。
そして瞬く間に商品のうわさが広がり、貴族の中で大流行するのはもう少し先の話。
一方、冒険者向けのお店はというと、ハルトの喫茶店から男性2人女性1人の従業員が来てくれることになっていた。
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