ダンタリオンの手記 『戻ってこない』

悪魔暦千二百三十八年 五月二十五日午後九時三分 天気曇


 さてどういう事だろうか。

 七つの大罪の元へ向かうと言って出ていったグレモリー一行を迎えに行ったはずのアミーが約一日経っても帰ってこない。

 考えられるのは二つ。

 一つは迎えに行ったが敵勢力と出会してしまい、交戦してしまった。

 なくはないが、高確率であり得ない事象だ。

 なぜならアミーを含めたメンバーは、全員七十二柱の中でも指折りの実力者。期待の星である大和君もいる。

 彼女らの友人、同僚関係にある者として全員が戻って来れなくなるような事態に陥っているとはにわかに信じがたい。

 ともすれば二つ目。

 迎えに行ったアミーもろともグレモリーの身勝手さに振り回されているか、だ。

 おそらく、と言うよりこれが正解だろう。

 七つの大罪達から何を言われたのか知る由もないが、グレモリーの一言で帰るか帰らないかが決まる。

 こちらの都合などお構い無しな訳だ。

 アミーを向かわせたのは判断ミスだった。

 グレモリーに良いように言いくるめられてどこかに行ってしまったのだろう。

 全く、グレモリーを野放しなするんじゃなかった。

 早く戻ってきて欲しいが、後二日はかかるだろう。

 白竜ランケの夕飯も作らなきゃいけない。

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