ダンタリオンの手記『大和君について』
悪魔暦千二百三十八年 五月十四日午前零時十二分 天気曇
私の最近の楽しみは異端者長谷川大和君ことを考える時間だ。
先の裁判では危うく実験対………大和君に牢獄生活をしてもらわなければならなかったが友の協力もあり彼を私達の元で保護する運びとなった。私にとってこれは幸運なことだ。彼に接触する口実がいくらでも作れるからね。
さらに幸運なことに私が運営する図書館に彼自ら来てくれた。
とりあえず一連の出来事について再度話を聞いた。
やっぱりわからない。裁判では言い辛かったことが聞き出せるやもと思ったが新情報はなにもなかった。ただ裁判でも思った通り、彼を殺した犯人は私達の身内にいそうだ。しかし証拠不十分なので仮説の範疇を出ない。
もちろん天使界、神界、地獄、冥界の誰かの仕業とも考えられなくもないが彼らが愉快犯的な行動を取るとは考えにくい。
もしかしたら私でも知らない未知の存在かも。
………だめだな。夜更かしを続けていると考えていることが自分でもわからなくなる。
とにかく容疑者は全員という訳だ。私自身も含めてね。知らず知らずの内に片棒を担がされ、記憶を消されて今この手記を書いてる可能性も否定はできない。
犯人を特定するにはまだ時間が掛かりそうだ。
ところで私が気になっていることがもう一つある。
それは議事堂の幽閉された新たな客についてだ。
彼が大和君と対峙したのは周知の事実だが、問題はその発見方法だ。
彼に話を聞いたところ「あいつから魔力を感じた」と言っていた。
大和君にはまだ魔法を覚えてはいないだろうし、持っていた武器は覚醒させるまではただの剣に過ぎない。
一体、彼は誰の魔力を感じたのだろう。
謎が多いのは嬉しいが、どうも大和君に関する物ばかりだ。
今後も研究を続けていくしかない。
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