第497話 スワンボート上で……

「今日は天気も良いし、この時期は新緑を感じられるしね!」

「みんな公園のベンチなどで過ごすより、ボートに乗って二人の時間を作りたいのだよ!!」


「……二人の時間?」

「……あぁ、そう言う事ね!」


 俺は和やかな表情で亜紀に言った後。亜紀は疑問を感じた表情で呟くが、その意味に気付き納得した表情で呟く。

 亜紀は澄ました表情で、俺に話し始める。


「けど、武蔵君…」

「この水面の賑やかさでは、二人の時間を作るのは難しいと思うよ…!」


「……うん。完全には作れないかもね」

「亜紀…///」


 俺は、少し困った表情で亜紀に話す。

 俺が以前。虹心とスワンボートを乗った時は、公園の池をかなり独占出来たが、今回独占をするのは難しい状況で有った。


 だが、俺は亜紀とキスを求めているだけで有って、それ以上の行為はまだ求めていない!?

 俺と亜紀が乗ったスワンボートは、池の中央に向かって、阿吽の呼吸で進んで行く……


 ……


 池の中央付近に、俺と亜紀が乗っているスワンボートは到着するが、その周囲には同じように数隻のスワンボートが停まっていて、各ボート内で二人の時間を楽しんでいる!///


「……///」


「……///」


 俺と亜紀は覗き見をするつもりは無いが、各ボート内でカップルは抱き合ったり、愛を感じる会話をしているのだろう!

 俺と亜紀はシャイなので……その光景を見ると途端に恥ずかしく成る///


「……亜紀。場所は良いんだけど、少し目のやり場に困るね///」


 俺は困った微笑み表情で亜紀に話すと、亜紀も困った微笑み表情で返事をする。


「うん…///」

「ここは少し、落ち着かないね!///」


「武蔵君。場所を変えよう…///」


 此処は池の中央で有るため。池の外周に居る人達からボート内を覗き見されることは無い。

 みんな、考えることは同じで有る。


『キコ、キコ、―――♪』


 俺と亜紀が乗るスワンボードは池の中央外れ、池の端の方へ少し向かう。

 其処は公園の奥地に成るため、人の往来も多少は減るのも有るし、ボートの数も池の中央と比べれば減るからで有る。


「よし。この辺りなら良いだろう!」


 俺は和やかな表情で亜紀に話しながら、ペダルを漕ぐのを止める。

 亜紀も俺の言葉でペダルを漕ぐのを止めて、穏やかな表情で俺に話し始める。


「この辺なら、良さそうね…!」


「……武蔵君!」

「遂に、この時間が来たね…」


「!」


 俺は亜紀の言葉で、思わず驚いてしまう!

 亜紀の言葉が、俺とのキスを望んでいると聞き取れてしまうからだ。


(亜紀も期待していた!?)

(なら早速、誰かのボートが近付く前に亜紀と行為キスをしなければ///)


 俺は青年漫画の濡れ場を思い出しながら、キリッとした表情と渋い口調で亜紀に言い始める!


「……亜紀!」

「その…、人形のように美しい姿と純粋な瞳…」


「まさに生き人形のようだ……。愛しているよ。亜紀…///」


「…………」


 だが、俺の言葉で亜紀は固まる!

 俺の愛の言葉を、亜紀は理解出来ないのか!?


 けど、しばらくすると亜紀は、吹き出し笑いをしながら俺に話し始める!


「……ぷっ!」

「あはは~~!」


「武蔵君には、そんな言葉は似合わないよ~~」

「あはは~~可笑しい~~!///」


「……///」


 亜紀は俺を馬鹿にした笑いをするが、こんな亜紀を俺は初めて見た!

 これが、亜紀本来の姿なんだろうか!!


 亜紀は元々、虹心のような明るい女性なので、それだけ俺に心を開けている証拠でも有るが……気取った俺を、亜紀は求めていないようで有った!!

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