第435話 亜紀と楽しむ葉月祭 その3
『ただいまより、第○×回。葉月祭を開催します!』
『高等部、飲食・物品販売者たちの販売も、同時に開始します!』
『来場者の皆様は、マナー・ルールを守りながら、葉月祭を心ゆくまでお楽しみください!!』
校外スピーカーからアナウンスが流れ終わると、生徒会の人達が虎ロープを外し始める。
虎ロープを外し終わった時点で、一般来場者の入場が許可される。
『ぞろ、ぞろ、―――』
俺と亜紀は、かなり後ろの方で順番待ちをしていたので、直ぐには入場出来ないが、人の流れに沿って歩いて行く。
正門を入った直後の右側には、長机が設置されていて、葉月祭のパンフレットが山積みで置いてある。
『サッ!』
俺と亜紀は、そのパンフレットを一部ずつ貰い、学園内へ入って行くが……細かい内容まではまだ決めていない。
共に歩きながら、俺は亜紀に和やかな表情で声を掛ける。
「亜紀!」
「何処から見て回る…?」
「……そうね。武蔵君」
「まだ、お腹も殆ど空いていないし、演劇も11時10分からだから、余り変な所には行けないね…!」
「それに…、出来れば良い席で演劇を見たい!」
「ホールの開館時間までは、グランド周辺を軽く見て回りましょうか?」
「武蔵君!」
亜紀は、穏やかな表情で俺に言う。
虹心が所属する演劇部の公演は今日は午前。明日は午後に各1回が公演される。
だが、公演内容は同じ内容で有る。
演劇公演は体育館で開催されるのでは無く、グリーンホールと言う、公演専用の学園ホールが有る。
この辺りは、流石の私立学校だ!!
けど、学園専用ホールで有るから、収容人数は多くなくて、有名ホールやアリーナと比べると小さい部類に入る。
このグリーンホールで演劇部の演劇及び、吹奏楽部の演奏がされるので有るが、両者共にとても人気が有る。
だからこそ、ホール開館同時に入場しないと良い席は取れない。
俺は理解した表情で、亜紀に言い始める。
「分かった。亜紀!」
「なら、ホール開館時間までは適当に見て回ろうか!」
俺と亜紀は、飲食や物品販売が行われているグラウンドへ向かう。
文化部の展示物や催し物を見ようかとも考えたが、優先順位は演劇のため、どうでも良い(?)、飲食・物品販売を二人で見て回る。
『がや、がや、―――』
『いらっしゃい、いらっしゃい、―――♪』
『いらっしゃいませー♪』
『出来たてですよ~~!♪』
『がや、がや、―――』
グラウンド内は、たくさんの人達で、とても賑やかで有る!
たくさんの来場者が居て、模擬店からは学園生男子・女子の客引き声が聞こえてくる。
俺は亜紀と一緒に模擬店を見て回り始めると、野球部が出店する模擬店を見掛ける。
『俺のバット!』
『1本 ¥200』
『2本 ¥300』
野球部が出店する模擬店はチョコバナナ店で有るが、ストレートなネーミングで有る!
野球部だから、野球のバッドを連想させるが……性が旺盛な人が見れば、男性の“バッド”を連想させるだろう!///
チョココーティングされた、照り輝くチョコバナナは見事にアレを連想させる!///
(流石、青春の葉月祭///)
(チョコバナナと書かず、遊びを入れる!///)
「……」
俺は心の中で感じながら素通りをするが、亜紀は馬鹿にした表情で、軽く横目で見るだけで有った。
これが、馬鹿女系統ならきっと『きゃっ、きゃっ』言う者だが、亜紀はやっぱり出来た人で有る?
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