第419話 制作初日が終わる その2

「こうもりね……やっぱり、武蔵君はそっち系の親友が多いの…?」


 亜紀は澄ました表情で、俺に質問をしてきた。

 俺は少し困った表情で、亜紀の質問に答え始める。


「俺は……陽キャラでは無いからな///」

「どうしても、オタク系や陰キャラ系の親友が多くなる!」


「……虹心ちゃんは凄く活発な性格だから、武蔵君も本来は同じように動けるでしょ?」

「血の繋がった兄弟なんだから……」


 亜紀は少し驚いた表情で俺に言うが、虹心は三國家の風雲児だ!?

 父親や母親も、虹心のような陽気な仕草を殆ど見せないし、兄の航平だって爽やか好青年タイプだ。


 虹心の場合は、本当に感情で動いているぐらい喜怒哀楽が激しい!

 甘える時は“とことん”甘えてくるし、怒らせたら般若に成る!!


(けど、そんなことを亜紀に話しても、理解してくれないだろうな!)


彼奴にこは、猫の性格も習得しているからな!!)

(外では猫被りの、虹心だからな!?///)


「虹心は特別なんだよ…///」

「兄も俺と同じように、大人しい性格だから…」


 俺は、少し恥ずかしい表情で亜紀に言う。

 すると、亜紀は理解した表情で俺に言い始める。


「なるほどね!」

「虹心ちゃんは武蔵君とその兄に囲まれているから、独自の発達を遂げたと」


(独自の発達…)

(うん…。間違ってないだろう)


 虹心はとうの昔に、母親を上回る家事スキルを身に付けているし常識も、もしかしたら三國家の中では一番わきまえているかも知れない!?


「まっ、その話しはここまでにして、帰ろうか」

「武蔵君!」


 亜紀は澄ました表情で、俺に話し掛けてくる。

 俺は穏やかな表情で、亜紀に返事をする。


「うん!」

「帰ろう。亜紀!!」


 俺と亜紀は二人で、モザイクアート制作と成っている教室から出る。

 ここからは楽しい通学路デートと言いたいが、俺と亜紀は家の方向が真逆のため、学園の正門までしか二人の時間は続かない。


 時間に直せば、5分から10分ぐらいの時間で有る。

 教室で俺と亜紀のカバンを回収して、昇降口に向けて、俺と亜紀は廊下を歩いているが、亜紀は穏やかな表情で話し掛けてくる。


「モザイクアート制作は、大体3週間前後続くのだよね?」


「そう。大体3週間前後!」

「そのうちの2週間が、今日作業したシール貼りが中心で、最後の1週間は、各パーツを1つにまとめ上げる作業」


「けど、纏め上げる作業は、そんなに人が要らないから、生徒会の人達で作業してしまう場合が多いね」


 俺は説明するように、和やかな表情で亜紀に話し終えると、亜紀は納得した表情で俺に話し始める。


「メインは2週間か…!」

「シール貼りは参加して、纏め作業の方は、生徒会の人達に任せた方が良いかもね」


「そうだね。亜紀!」


 亜紀に穏やかな表情で、俺は返事をする。


(幾ら強制では無いにしても、モザイクアート制作中の期間。亜紀はずっと特別授業を休むわけには行かないからな)

(おまけに亜紀が目指している大学は、地域No.1である名大なだいだ)


 亜紀がモザイクアート制作に参加しているのは、亜紀のためでは無く当然、俺のためであろう。

 俺と亜紀はコースが違うから、合同授業で一緒にも成れないし、そもそもコースが違うから交流その物が無い。


 俺と亜紀が学園内でのイベントを楽しもうとしたら、実質葉月祭しか無い。

 修学旅行も特進コースは、普通コースとは違う場所に行くため、本当に関わりようが無い!///


「武蔵君!」

「だから、私の参加はシール貼りまでね!」


 亜紀は穏やかな表情で俺に言う。

 俺も、穏やかな表情で亜紀に言い始める。


「うん。分かった!」

「けど、亜紀……ううん。なんでもない///」


「?」


 俺が途中で言うのを止めた為、亜紀は不思議そうな表情を見せるが、それを聞いてくることは無かった。

 亜紀の進学を俺が意識すれば、モザイクアート制作に来るより、特別授業を受けていてくれた方が良いに決まっている。

 

 だが、亜紀は俺を気遣って、モザイクアート制作に参加している。

 俺が、余計なことを言わない方が良いだろう。

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