第396話 定時外連絡

 ……


 午前中の授業は問題なく進んでいくが、担任の言っていた通り、二村は午前中の授業で来る気配は無い。

 亜紀は多分。二村と話し合いをしていたはずだが、亜紀からの連絡は無い。


 だが、俺から連絡を取るのは、よした方が良いだろう。

 亜紀と二村の状況が、見えないからで有る。


 そんな中で、俺が亜紀に連絡を取ってしまったら、火に油を注ぐ行為に成るだろう!!

 これは、亜紀からの連絡待ちに徹するべきだと、俺は感じた。


 午前中授業の合間に、何度か休憩時間が有るが、その時間に俺へ迫ってくる人間や、嫌みや文句を言ってくる人は居ないし、他所のクラスからの急襲も無かった?


 松田達の方も何時も通りで有るが、二村が居ない所為か、何時もより賑わいが弱い感じがする。

 だが、このクラスのDQN女子をまとめている古賀は、最近の中では一番生き生きしていた。


 二村が松田に接近するまでは、古賀が松田の側へ常にいた。

 だが、二村が松田と仲を深めるのに比例して、古賀と松田の距離はひらいていくしか無かった。


 この、クラス女子を纏めているのは今でも古賀で有るが、古賀から見れば二村は、目の上のこぶだろう……

 だが、二村は松田と恋人関係に発展してしまったから、手も足も出ない状態に成ってしまっている。←あくまで、武蔵の推測///


 ……


 午前中の授業の終わり、現在は昼食の時間で有る。

 今日も何時も通り俺は購買に行って、購買で惣菜パンや菓子パンを買って、教室の自席でコーヒー牛乳と一緒に菓子パン食べていると、スマートフォンからのバイブ音が体に響く。


『ブブッ!』


「?」


「何かの、通知設定か?」

「……それとも、亜紀から?」


 俺は食べかけの菓子パンを机に置いて、ズボンポケットからスマートフォンを取り出し通知内容を確認する。


(あっ……やっぱり、亜紀からだ!///)


 それは只の通知では無く、亜紀からのRailで有った!

『学園内での連絡は自粛するべき』と言った亜紀が、連絡をして来たのだから緊急性が高い内容に決まっている。


『こんにちは。武蔵君!』

『緊急性が高い物と、私が判断したから連絡する』


『学園への通学中に、彩織に待ち伏せを喰らったわ!』

『内容は言わなくても分かるよね』


『私と彩織の話し合いは、再度物別れで終わったけど、武蔵君の方も気を付けて!!』

『彩織は怒りの矛先を、私から武蔵君へ変えた様だから』


「!!」


 亜紀からのメッセージを読みながら、俺は驚いてしまう!

 怒りの矛先を変えたと書いて有るから、二村は俺の方へ文句を言いに来るのが、確実だと理解出来てしまうからだ。


(不味いな……二村のことで有るから絶対、松田を護衛として連れて来るだろう!)

(これで、俺が対応を間違えてしまったら、俺はみずから亜紀のことを諦めないと行けないかも知れない///)


 今の時間は昼食時間で有り、時間もまだ有るので、俺は食べかけの菓子パンを食べながら、亜紀宛てのメッセージを打ち込み始める。


「亜紀。連絡ありがとう!」

「俺も厳戒態勢を敷くよと言いたいが、確実に今日の放課後。二村は俺の所へ来襲するだろう」

「超弩級戦艦武蔵の最後に成らない様に、俺は奮闘するよ!!」


 メッセージ上では二村だけしか書いてないが、確実に二村は、松田とそのグループを連れて俺の元に来るはずだ。

 俺は誤字脱字を確認してから、亜紀宛てメッセージに送るが、直ぐには返信が来ず、送ってから約10分後に、やっと亜紀から返信が来る。


『あぁ……武蔵君は、そっちと同じ名前だったね』

『レイテ沖海戦の事を、武蔵君は言いたいのだけど……武蔵君は轟沈したいの??』

『史実でも奮闘はしたけど、沈んでは意味が無いよ…(^_^;)』


『IFのレイテ沖海戦なら良いけど、史実を言っているなら、武蔵は沈むからね』

『私だから許すけど、もう少し、人に理解して貰える文章を書いた方が良いよ!』


『私は彩織を撃破では無く、駆逐しか出来なかったけど、武蔵君も彩織を駆逐では、長期戦に成るからね!』

『武蔵君の健闘を祈る!!(^_^)ゞ』


「…………」


 亜紀からの返信を読んで、俺は固まってしまう。

 冗談を交えて書いたつもりだが、亜紀は素で返信してきた!?

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