第382話 相手待ち

(これで……二村と松田が、恋人関係で有ることは確定だ!)

(だが、どうやって、俺は亜紀さんと関係を深めれば良いのだろうか?)


 俺と亜紀さんは、正直言えば住む世界が違う。

 俺は普通コース生だし、亜紀さんは特進コース生で有る。


 おまけに亜紀さんは、学年一の美少女で有る!///

 来年の最高学年に成れば陽葵先輩が卒園する関係から、亜紀さんが学園一の美少女に君臨するだろう……


 亜紀さん自身も、自分(私)がモテることを自覚しているし、将来の進路もしっかりと決めている。

 そんな亜紀さんと学園内で、おおやけに付き合える関係に持って行くのは、普通の手段では無理だろう……


 その前に、俺から亜紀さんに連絡を取ることが基本出来ないし、亜紀さんも前向きに検討すると言っているだけだから、このままお流れに成る可能性も十分有る……


(全ては、亜紀さん次第だな……)

(でも、亜紀さんが駄目なら、いさぎよく次の目標へ切り替えるだけだ!)

(最悪は虹心と、関係を持ってしまえば良い!?)


『キーン、コーン、―――♪』


 俺が自席で考え事をしている間に、始業(朝のHR)チャイムが鳴る。

 亜紀さんからの動きが有るまでは、俺は今まで通りの生活をするしか無かった。


 ……


 ☆


 昼食の時間……


 俺は何時も通り購買に行って、菓子パン、惣菜パン、牛乳を買った後。教室に戻って自席で昼食を摂る。


 今日は珍しく、ホットドッグが買えた。

 ホットドッグなどの惣菜パンはいち早く売り切れるので、毎日必ず惣菜パンが買えるわけでは無い。


「もぐ、もぐ、―――」


 俺は自席で昼食を摂っているが、恋人関係に成った二村と松田は教室内に居なくて、二人で楽しい昼食を何処で摂っているのかも知れない。


「……」


 俺の大親友岡谷君も、自分の席で昼食を摂っているが、詰まらなそうな表情でコンビニおにぎりをかじっている。

 岡谷君は、俺が松田達と争った時に助けてくれた仲で有るが、その時以降から微妙に距離を開けられてしまった!///


 俺は岡谷君の凄さを知ってしまったし、岡谷君も俺に、その力を見せたくは無かったのだろう……

 そのため、以前ほど交流は盛んでは無くなったが、親友関係だけは維持出来ていると思う?


『ガサ、ガサ、―――』


 俺は昼食を食べ終えて、食べる時に出た“ごみ”をゴミ箱に捨てに行く。

 ごみを捨てた後は、再び自席に戻る。


(飯も食べたし……昨日は夜が遅かったから、時間まで机で寝ていようかな…?)

(高岡たちと話しても、会話が続かないからな~~)


『~~~♪』


 俺は心の中でそう思っていると、Railの着信音が鳴る!

 しまった……今日はマナーモードにするのを忘れていた!///


(今が昼食時で良かったな!)

(これが授業中で有ったら、確実にマイナス評価に成るからな!!///)


 俺は心の中で思いながら、Railの着信内容を見始める。

 相手は……亜紀さんからで有った!


(意外に動きが速いな!)

(俺の予想では、1週間位は“なしのつぶて”だと思っていたのに……)


『こんにちは。武蔵君!』

『早速だけど、今日の放課後空いている?』


『もし、空いているようで有ったら、16時半を目安に特進教室へ来て!』

『武蔵君と今後の打ち合わせをしたいから……』


(文章の感じから、前向きの雰囲気と感じ取れるが。相手が亜紀さんだからな!)

(期待して行ったら、地獄に突き落とされる事も平気で有るからな!///)


(けど、昨日は良いムードで終わっているから、昨日今日で俺を振ることは無いだろう!?)


 俺は心の中で、そう信じながら、亜紀さん宛に返信メッセージを打ち込み始める。


 これで、今日の放課後。

 亜紀さんに三下り半を突き付けられたら、もはや笑うしか無いだろう!??

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