第348話 美術館での一騒動 その1

「…………///」


「……本当。大丈夫?」

「亜紀ちゃん……」


 我に返った伊藤さんで有るが、心配する陽葵先輩の声掛けに反応を示さない。

『そんな馬鹿な…』の表情をしている伊藤さん。


 桃香ちゃんも、伊藤さんのことを心配して、困った表情で声を掛け始める。


「……お姉ちゃん!///」

「さっきから、どうしたの!!///」

「陽葵さんを見てから、急に驚いちゃって…///」


「うっ、うっっ、うん……。大丈夫…!」

「桃香……」


 伊藤さんは桃香ちゃんの言葉には反応して、理解しがたい表情でうめき声を出すように言う。


(俺が陽葵先輩と一緒に居るのが、余程驚いたんだな…!)

(でも、伊藤さんは俺を振ったのだから、其処まで驚かなくても良いのに……)


 俺は心の中でそう感じていると……やっと、伊藤さんが俺の方に顔を向けるが、何故か睨み付けながら、怨念おんねんがこもった口調で言い始める!


「……どうして三國君が……、陽葵さんと一緒に居るわけ!?」

「ねぇ……!!(怒)」


(伊藤さん。怖いよ!!)

(どうして、俺が急に怒られるわけ!!!///)

(俺……伊藤さんと恋人関係では無いよね///(汗))


 この状況を、理解して見かねた陽葵先輩が、伊藤さんに困った微笑み表情で話し掛ける。


「亜紀ちゃん…///」

「これはね……お姉ちゃんの仕業なの!///(汗)」


「……えっ!?///」

「真優美さんが!??///」


 伊藤さんは少し頬を染めて、びっくりした表情で言う。

 伊藤さんは俺を睨み付けることは止めて、鳩が豆鉄砲を食ったような表情で陽葵先輩に問い掛ける。


「これは本当に……真優美さんの仕業なんですか…?」

「陽葵さん……///」


「そう……亜紀ちゃん!///」

「私と三國君は親友関係では有るけど、其処まで深い関係では無い!///」


「お姉ちゃんが、私の将来練習の為にと、三國君と一緒に美術館に行くことを仕組んだんだよ!!///(汗)」


「あっ……その様な経緯いきさつが有ったのですね///」

「陽葵さん…///」


「ふぅ~」


 少し頬を染めて、困った笑顔で言う陽葵先輩。

 その言葉を聞いて、何故か安心した表情に成って、更にため息を吐く伊藤さん!?


 俺を振った伊藤さんがどうして、その様な表情をするの!??

 陽葵先輩は困った微笑み表情で、伊藤さんに話し掛ける。


「だから……安心して亜紀ちゃん!///」

「私はデートとかの意味で、三國君と来た訳では無いから!!///」

「あくまで将来の練習で有って、三國君が私の恋人候補では無いよ!!♪」


(相変わらず、はっきり言うな陽葵先輩……)

(陽葵先輩とも、親友以上恋人未満でおわりか!?)


「あっ……陽葵さん!///」

「そう言ったつもりで、言ったわけでは有りませんから///」


 少し頬を染めて困った表情で言う伊藤さんだが、疑問を感じた表情に変わって、陽葵先輩に聞き始める。


「けど、どうして、陽葵さんが三國君と関係を持つことが出来たのですか?」

「私は陽葵さんに関することを、三國君には一切教えていないのに!!///」


「!!」


(そう言えば、そうだよな!)

(伊藤さん一家は昔から喫茶『撫子』と付き合いが有るから、伊藤さんは当然、陽葵先輩を知っているし、付き合いもかなり長いだろう!!)


(だが、伊藤さんは、俺にその様なことは一言も話していない)

(やろうと思えば、伊藤さんから俺に、陽葵先輩を紹介することも出来た?)

(何か……引っ掛かるな!)


 俺が心の中でそう思っている中。陽葵先輩は困った笑顔で、伊藤さんの質問に答え始めた。

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