第345話 美術館常設展

「三國君!」

「折角、美術館に来たのだから、常設展の方も見て回りましょうか!!」


 陽葵先輩は和やかな表情で言う。

 だが、俺は……


「……常設展ですか?」

「……そうですね。分かりました!」


 俺は作り笑顔で言うが……心の中では『あ~~、やっぱりか…』と感じてしまう。

 これからしばらくの間は、退屈の時間が始まりそうで有った。


「……三國君は、常設展の方は興味が無い?」

「無いなら、これで終わりにするけど……」


 俺の作り笑顔がバレてしまったのか、陽葵先輩は疑問に感じた表情で聞いて来る。

 俺は困った笑顔で、陽葵先輩に言い始める。


「そうでは無いですよ!///」

「やっと……美術館らしいなと感じまして!!///」


「?」


 俺の言葉の後。陽葵先輩は首をかしげる!

 俺の言葉を理解出来なかったのだろう。


 出来る訳無いと思うけど……

 俺は作り笑顔で、陽葵先輩に言い始める!


「さぁ、さぁ、行きましょう!」

「陽葵先輩!!」


「今回は、どんな展示物が有るかな~~♪」

「楽しみだな~~~♪」


「えっ、ええっ!??」

「うっ、うん……分かった。三國君…!」

「じゃあ……行こうか!///」


 陽葵先輩は俺の変化に驚いているが、口調は理解した口調で言う。

 これからの時間は我慢の時間だ…。これが終われば楽しいランチタイムが待っている!!


 俺は覚悟を決めて、特別展のエリアから、陽葵先輩と一緒に常設展の方へ移動を始めた。


 詰まらなくても、笑顔を絶やすな!!

 頑張れ俺!?


 ☆


 常設展の内容に関しては……割愛する!///

 俺の知識では、皆様に分かりやすく説明出来ないからだ///(汗)

 由緒ある国内展示物から海外作品まで、俺の口からは説明しにくい、良い作品がたくさん有った。


 陽葵先輩はやはり教養がある所為か、作品を見ては一人で感激していた。

 当然、俺に同意を求めて来た事も有ったが、俺は作り笑顔でその場をしのいだ!!


(特別展は良かったが……やっぱり、普段の美術館は俺の肌には合わないな…!)

(俺の家族は美術に余り興味が無いから、家族一緒で美術館に行くことも無いしな……)


 俺は陽葵先輩と、美術館の常設展を巡りながら思う。

 成績優秀な兄や虹心も、美術の成績は並で有る。

 三國家には美術に関する血筋は、多分流れていないのだろう?


(今後の陽葵先輩との行方は分からないが、陽葵先輩が美術方面に強かったら俺が苦労しそうだな……)

(まだ、サイエンスの方は大丈夫だが、アニメ以外の美術は俺には“てんで”駄目だ!!///)


(陽葵先輩は何も言ってこないが、実は気付いて居るかも知れないな!)

(俺が美術館に興味が無いことを……)


 陽葵先輩を横目に見ながら俺は思う。

 美人と言える顔つきに、知識と教養も備わっている雰囲気が出ている。

 真面目な美少女(美人)優等生だ。


 だが、言葉を言い換えれば、それだけ面白みが無い女性にも成ってしまう。

 陽葵先輩は学園一の美少女で有るが、それはそれだけ純粋で有るからだろう。


(もし、陽葵先輩の尻が軽い女性で有ったら、多分学園一の美少女には為れていないだろう…)

(美少女と言うのは顔つきも大事だが、清楚や無垢も含んでの意味だからな!)


(だが、伊藤さんの場合は清楚は感じるが、無垢は感じ無いぞ!?)

(……余り、深く考えないで置こう!)


 俺はそんな事を思いながら、陽葵先輩と常設展を見て回った。

 もし、これ(常設展)を作文に書けと言われたら、パンフレットを見て適当に書くしか無いだろう!?

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