第336話 待ちわびた日 その2

(世の中……絶対は無いからな)

(今日香ちゃんの考え方が変われば、再度俺へアタックをしてくるはず!!)

(だが、そんな事を意識すれば、陽葵先輩への関係も奇跡が起きるか!?)


 俺はそんなことを思いながら、運動靴を履いている。

 運動靴を履き終えた俺は、虹心に出かけの挨拶を穏やかな表情でする。


「じゃあ、虹心。行ってくるよ!!」


「兄ちゃん!」

「気を付けてと、楽しんできてね!!」

「後、お土産は期待していないから!!♪」


 虹心は笑顔で言うが、さり気なくお土産を要求してきた!?

 普通、デートに行く兄へ、お土産を要求する妹は居ないだろう!??


「あぁ、ありがとう!」

「けど……お土産は、買ってこないからな…」


 俺は穏やかな表情でお礼を言った後、澄ました表情で虹心に言う。

 だが、虹心は笑顔で言ってくる。


「冗談だって。兄ちゃん!♪」

「ほら、早くしないと遅刻するよ!!♪」

「デートで遅刻したら、譲羽先輩に幻滅されるよ!!!♪」


 虹心は笑顔だが、かす口調で言う。

 まだ、待ち合わせの時間までは、十分に有るはずだけど……


『ガチャ!』


『パタン!』


 虹心が俺を見送る中。俺は玄関のドアを開けて、外に出てから玄関のドアを閉める。

 虹心はご丁寧に玄関内で、笑顔で手を振りながら見送ってくれた。


(俺のことが好きな割には、虹心は嫉妬心は出さなかった?)

(まぁ、いっか!)


 俺は徒歩で駅に向かう。

 今日は本当に青空が綺麗で、絶好のデート日和となりそうだ。

 俺は歩きながら今日の予定を思い出す。


(駅で陽葵先輩と合流して、その後は電車に乗って名美崎なみさき(駅)へ向かい、後は地下鉄に乗って……美術館近くの駅まで行って、市立美術館の特別展を陽葵先輩と楽しむ)

(美術館後は、近くの繁華街で昼食を食べて、その後は繁華街の散策を楽しむ……だったよな!)


 今日の大まかな予定は、こんな感じで有る。

 メインは美術館の特別展で有るが、陽葵先輩の話しによれば、2時間も有れば見終わるらしい。

 そのため、昼食の時間は13時以降になると思われるが、却ってランチタイムから外れる為、行列待ちをしなくても言いだろう。


(……陽葵先輩は、どんな格好で来るのかな?)

(学園制服では無いとして、凄くお洒落でもして来るのかな?)


 陽葵先輩の普段着姿は、クリーム系の半袖シャツに、灰色系のキャミワンピースで有ったが、今日もその様な姿で来るのだろうか?


(けど、陽葵先輩も“モテる”自覚は持っているから、意外に地味な格好で来るかも知れないな!?)

(ナンパ防止の為に!!)


 そんな事を思いながら、俺は駅に向かう。

 余り派手な格好で来られると、美術館後の繁華街デートに影響を及ぼしそうだな!?


 ☆


 時刻は9時50分頃。俺は駅に到着する。

 待ち合わせは駅改札付近で有るが、改札の外では無く、改札内での待ち合わせになる。

 そうしないと、陽葵先輩の場合は乗車料金の精算が、必要に成るからで有る。


 俺は普段、電車に乗ることは少なかったが、最近は電車に乗る機会も増えて来たので、公共交通系ICカードを遂に持つ。

 これを持てば、もう切符を買う必要性も無いし、俺が使う私鉄・主要鉄道会社にも使うことが出来る!


(と、思いつつも、しばらくはこの私鉄だけだよな!)


 俺は駅の改札に、ICカードをかざして改札を通る。

 事前に、お金はきちんと入金して有る。


 改札内のなるべく、陽葵先輩が見付けやすい場所で俺は待つことにする。

 このデートをする直前に、真優美さんのお店で最終打ち合わせをしたが結局、陽葵先輩のRail IDは教えて貰えなかった……


(あの時は、真優美さんが側に居たから駄目だったけど、改めてお願いすれば陽葵先輩は優しいから、Railを教えくれるかも知れないな!)


 俺はそんな事を思いながら、陽葵先輩が来るまで待つ。

 しばらく待っていると……人がゾロゾロと降りて来たので、電車が到着したのかも知れない。

 ちなみにホームは上階に有る。


「!!//////」


 俺は降りてくる人を見ていると……陽葵先輩を見付けるが、その姿を見て胸が弾んでしまう!!

 かなり張り切ってきたな…。陽葵先輩!!///

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