第322話 驚く陽葵先輩 その1

「三國君!」

「今、陽葵をこっちに呼んだから!!」

「しばらくしたら、来ると思うわ!!!」


 真優美さんは、さっきの案を陽葵先輩に話して、俺を陽葵先輩に紹介する気なんだろう。

 世の中、そう上手く行く物だろうか……


 ……


 2~3分位の時間が経った頃。

 陽葵先輩が、住居側から喫茶店の方に顔を見せる。


 陽葵先輩は不思議そうな表情をしながら、俺たちが座っているテーブル席に近付いて来る。

 陽葵先輩の姿は私服姿で有る。


「……」


 席に到着した陽葵先輩は、自分の席と成る場所に座りながら、真優美さんに怪訝な表情で話し始める。


「お姉ちゃん…」

「それで話しとは、一体なに?」


「まぁ、まぁ、陽葵!」

「先ずは、お茶とお菓子を楽しんで!!♪」


 真優美さんは笑顔で、陽葵先輩に言う。

 陽葵先輩は『?』の表情をしながら、アイスティーを飲む準備を始める。


(俺も今の内に、アイスティーを飲めるようにして置くか!!)


 陽葵先輩の真似では無いが、俺もアイスティーを直ぐに飲めるようにして置く。

 アイスティーにミルクやガムシロップを入れて、アイスティーをアイスミルクティー風にする。陽葵先輩も同じことをしている。


「もぐ、もぐ、―――♪」


 真優美さんは笑顔で、一口大に切ったタルトをフォークで食べている。

 その姿はまるで、虹心が目の前に居るようだ……

 真優美さんも虹心と同じ様に、悪戯好きなんだろうか!?


 真優美さんは大人の女性で有るが、まだ子ども心がかなり残っているのだろう!?

 アイスティーを一口飲み終えた陽葵先輩は、不安そうな表情で真優美さんに話し掛ける。


「それで、お姉ちゃん」

「そろそろ、本題に入らないかな?」


「んっ……。本題?」

「そんなに、改まった話しで無いから安心して。陽葵!」


 真優美さんは、陽葵先輩に穏やかな表情で話す。

 真優美さんはその表情で言葉を続ける。


「陽葵ってさぁ……」

名美崎なみさきの市立美術館で、今度開催される特別展に興味を示していたよね?」


「うん。市立美術館の特別展。気には成っている!」

「期間中。親友を誘って行こうかなと、考えている所!!」


 真優美さんの言葉を、和やかな表情で答える陽葵先輩。

 真優美さんは和やかな表情に変えて、陽葵先輩に言葉を続ける。


「私からの提案なんだけどさぁ~~、陽葵!」

「その特別展に三國君と一緒に行ったら、どうかなと、お姉ちゃんは思っているのよ!!」


「!!」


「!!///」


 真優美さんの言葉で、二人は同時に驚く!!

 俺は普通の驚きだが、陽葵先輩の方は少し頬を染めていた。

 だが、陽葵先輩は学園の生徒会副会長だけ有って、冷静な口調で真優美さんに言い始める。


「冗談はよしてよ……。お姉ちゃん!///」

「三國君とは親友で有るけど、どうして三國君と市立美術館に行かないと行けないのよ!!///」


 頬を少し染めて、困った表情で言う陽葵先輩……

 ここで『はい。よろこんで!!』と、言う女性は先ず居ないよな。


 俺を大好きな虹心だって、きっと言わないで有るだろう!?

 一回は難色の顔を示すだろう。

 だが、真優美さんは笑顔で陽葵先輩に言い始める!


「お姉ちゃんは、思うのだけどさ!」

「陽葵に三國君は結構、似合っている感じがするのよ!」


「私は三國君のことが親友として大好きだし、同じ姉妹で有るから、陽葵となら年齢も近いから、もっと親密な関係に成れるとお姉ちゃんは踏んでいるのよ!!♪」


「……///」


 真優美さんはそう言うが、陽葵先輩は頬を少し染めて『困ったな…』の表情をしている。

 こんな強引なやり方で、俺は陽葵先輩と一緒に美術館へ行くことが出来るのだろうか??


 その前に、俺は美術系に全くの興味が無いけど!///

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る