第317話 通い慣れた『撫子』

 俺は真優美さんに返信メッセージを送信した後。虹心とその後は雑談を楽しんでその日は終わる。

 虹心は俺に陽葵先輩を推していたが、俺や虹心が良くても、陽葵先輩や真優美さんが、断わったり反対したらそれまでで有る。


 真優美さんから返信が無事に来て、明後日の18時頃に真優美さんのお店へ伺うことに成った。

 その日は母親・兄共に偶然休暇らしいが、別に家族ぐるみでの用事は入っていないので、俺は真優美さんの方を優先させる。


 虹心はこの事を反対しなかったし却って『譲羽一家の晩ご飯もご馳走に成って来たら♪』と、茶化してくれた!!

 先ず、そんなことは絶対に起きないだろう……と感じるが、もしかしたら有るかも!?


 ☆


 火曜日の学園放課後……


 今日も何時も通り、学園の授業は終わる。

 この後の予定は、真優美さんのお店に伺うのだが、18時以降と時間指定されているので、まだ真優美さんのお店に行く訳には行かない。


(一度、家に戻ってから出直すか!)

(学園内で時間を潰す場所なんて……図書館ぐらいで有るが、小難しい本を読む気は無い!!)


 心の中で考えを纏めて、俺は動き始める。

 このまま家に帰り、少し自室で寛いでから、真優美さんのお店に向かう。


 俺が夕方から出掛ける事は、事前に母親へ伝えて有り、母親から了承を貰っている。

 今回こそ、19時までには帰れない筈だからだ!?


 休日の夜。虹心が俺を茶化したが、真優美さんの家で、晩ご飯をご馳走に成れる事は無いと思うので、家で晩ご飯を食べることも母親に伝えて有る。


 俺は学園から家に戻った……


 ☆


 18時の時間が近付いて来たので、俺は真優美さんのお店へ向かう。

 母親と虹心はリビングに居たが、小言を言われること無く俺は家から出る。


 ……


 道中は問題無く、17時50分頃に真優美さんのお店に到着する。

 喫茶店の出入り口ドアには『Open』の札が掲げられている。

『Open』なら、普通に入っていける。


 俺は喫茶店出入り口ドアをひらけて、喫茶店店内に入る。

 真優美さんはカウンター内に居て、直ぐに俺へ気付き、和やかな表情で挨拶をしてくる。


「いらっしゃい。三國君!」

「じゃあ……お好きな席へどうぞ!♪」


 真優美さんから、謝罪の言葉が最初に来ると感じていたが、普通の来客接客をされる!


(あっ……まだ、店内にお客さんが居るからか…!)


 18時前の時間で有るが、店内には数組のお客さんが居る。

 スーツを着たサラリーマンや、おばさん同士でお茶を楽しんで居る。

 他のお客さんが居る前で、俺に謝罪なんてしていたら『何事!?』と、他の人達は感じ取るよな!!


『お好きな席へどうぞ!』と、真優美さんに言われたので、俺はカウンター席には座らず、座り慣れた(?)の窓側の席に座る。

 カウンター席はこの前座って分かったけど、俺には落ち着かないからだ!!///


 一人ではもったいない、四人掛けの席で有るが、もう閉店間近だと思うので良いだろう?

 俺はその席に座ると直ぐに、真優美さんが“お冷や”と“おしぼり”をトレイに乗せて俺の席へやって来る。


 俺の席に到着すると、真優美さんは和やかな表情で話し掛ける。


「はい。三國君!」

「お冷やとおしぼりね!!」


「……注文は、どうする?」

「まだ、決まっていないようで有ったらベルを鳴らしてね!」


「……えっと、まだ決めてないので、後でお願いします…!///」


 俺は申し訳ない表情で、真優美さんに言う。

 喫茶店定番のアイスコーヒーやブレンド(コーヒー)を、その場で頼んでも良かったが、偶には違う物を飲みたいと俺は思っていた。


「……分かったわ!」

「じゃあ、注文が決まったらベルで呼んでね!♪」

「直ぐに伺うわ!!♪」


 真優美さんは営業スマイルで言い終えると、カウンター内へ戻って行った。

 テーブル横に置いて有るメニュー表を手に取って、俺はメニュー表を見始めた。


 改めて『撫子』のメニュー表を見始めるが、どれだけのメニューが有るのだろうか……

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