第297話 明後日の展開!

「なら、武蔵君!♪」

「今度、お店の厨房を特別に見せてあげるよ!!♪」


「おじいちゃんにも、頼んで置くからさ!」

「きっと、武蔵君には良い刺激に成ると思うよ!!♪」


 凄く嬉しそうな表情で言う今日香ちゃん!!

 こっちは、その表情を見て固まってしまう。


「……」


(何故、そっちの方へ話しが行く!?)

(俺をそんなに、ケーキ屋の後継ぎにしたいのか!??)


「あっ……うっ、うん…」

「気持ちは凄く嬉しいけど、俺はそっち系に興味は無いから!///(汗)」


 俺は冷や汗をかいて、困った表情で今日香ちゃんに言う。

 幾ら何でも性急すぎる!!


「もう! 遠慮なんかしなくても良いよ!!♪」

「武蔵君にケーキ作りの世界を、おじいちゃんから見せて貰えるように頼んで置くから!!」


 俺は断ったのに、今日香ちゃんは笑顔で言ってくる!!

 本当……勘弁してくれ!!///


(今日香ちゃんは俺が好きでは無く、ケーキ屋後継ぎの為に、俺と関係を深めようとしているのか?)

(今日香ちゃんのスペックは良いけど……その為に、パティシエに成るのもな……)


 俺は途方に暮れた表情へ成ってしまう。

 虹心も強引な性格だが、今日香ちゃんは強引と言うより、周りが見えてないが相応しいだろう……


「…………」


「あれ……嬉しくないの?」

「武蔵君…??」


 俺が言葉を発しないから、流石の今日香ちゃんも『アレ?』の表情で聞いてくる。

 俺は困った表情で、今日香ちゃんに言い始める。


「今日香ちゃんには悪いけど……俺は、パティシエには興味が無いんだ…!」

「今日香ちゃんともっと仲良く成りたいけど……パティシエへの道は、俺の中では別問題なんだ……///」


「!!」


 今日香ちゃんは驚きの表情を見せた後。凄く悲しい表情で言い始める。

 しまった……言い過ぎたか。


「あっ……ごめん。武蔵君///」

「僕、一人で舞い上がって、武蔵君が困ってしまうことを言ってしまった!///」

「えっと……さっきのは気にしないで…!///」


「あっ、うん…///」


 俺は今日香ちゃんの言葉の後、困った表情で返事をする。

 今日香ちゃんが変なことを言い出さなければ、楽しい会話が続くはずだったのに、凄く悪いムードに成ってしまう。


「…………」


「…………」


 二人仲良くベンチに座っているのに、お互いの表情から笑みは消えてしまった。

 今日香ちゃんの表情は悲しい表情のままで有り、俺は困った表情をしている。

 俺は、飲みかけのコーラを口付けながら考える。


(どうしよう……折角出来た高等部後輩のなのに、二学期初日でその関係が崩れようとしている…)


(だが、俺は今日香ちゃんが好きだとしても、パティシエへの道に進む気は無い!)

(俺は今日香ちゃんを求めているが、新倉洋菓子店までは求めてはいない…)


「ごく、ごく、―――」

「ふぅ…!」


 今日香ちゃんは悲しい表情ながらも、残っていたコーラを一気飲み終えて、悲しい溜息を吐いた後、俺にその表情では話し始める。


「……武蔵君!」

「コーラごちそうさま……僕、お店のお手伝いが有るから、そろそろ行くね…!!」

「じゃあ……」


「…………」


 今日香ちゃんはそう言い終えると、静かに立ち上がり、カバンを持って改めて、俺の方に振り向きながら、悲しい微笑み表情で話し始める。


 俺はその間、今日香ちゃんに声を掛けられなかった。

 俺と今日香ちゃんの関係は、何もイベントが起きないまま、終わって仕舞うのだろうか……

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