第276話 阻止を狙う妹!

「えっ!?」

「あぁ……それを言われると、僕も困ったな!///(汗)」


「そうだよね…」

「虹心ちゃんの言う通り。お友達だからと言って、お店の商品を無料タダで出すのは不味いよね///」


 今日香ちゃんは、困った微笑み表情で虹心に言うが、何故か、和やかな表情に変わって俺に言い始める。


「武蔵君。さっきの言葉。少し訂正!///」

「ケーキを無料タダでは出せないけど、ほぼ原価で出すから、お店に遊びへ来てね♪」


「あっ、もちろん。虹心ちゃんにも同じ値段で出すから、虹心ちゃんも遊びに来てね!!♪」


「……」


「……(汗)」


 俺と虹心は、無言で顔を見合わせてしまう。

 俺は唖然あぜんの意味で有るが、虹心の場合は『呆れて物が言えない』で有った。


(俺に、興味を持ってくれたのは凄く嬉しいのだけど、これはどうすれば良いのだろう?)

(俺の家とは反対方向だし、虹心は今日香ちゃんを気に入っていないし、ケーキ屋の跡継ぎ問題も有る!?)


 俺は今日香ちゃんと仲良く出来て嬉しいが、余りにも急接近しすぎる人は、何か裏が有るのでは無いかと勘繰ってしまう。

 虹心は、嫌みと嫌がらせで今日香ちゃんに言ったのに、今日香ちゃんはこたえて無いからだ。


 今日香ちゃんは良い子だと感じるけど、同時に少し幼すぎる感じもする……

 虹心がしっかりし過ぎている面も有るが、今日香ちゃんの場合は無垢すぎる気がする?


 俺は今日香ちゃんからの言葉を、どう返事するべきか迷ってしまう。

 俺は徒歩通学で学園に通っている。

 

 おまけに、新倉洋菓子店は全くの逆方向で有るし、電車を使えないと行けない///

 俺が電車通学で有って、更に定期券内の出来事だったら、問題は無かったけど……


 俺が週1回。今日香ちゃんのお店(新倉洋菓子店)に顔を出したとしても、月に直すと4回と成って、4回分の往復電車賃が最低必要と成ってくる。

 都度乗りには“学割”が存在しないから、アルバイトをしていない俺には、小遣いのり繰りに影響が出るのは間違いない!!


「ねっ! だから、武蔵君!!」

「是非、遊びに来てね!!」

「本当に、武蔵君と仲良く成りたいの!❤」


 今日香ちゃんは、眩しい笑顔で俺に言ってくれるが……本当、どう答えよう。

 すると、俺が言葉を発するより、また虹心が今日香ちゃんに喰い掛かる!?


「……新倉先輩!」

「私が、兄ちゃんの代弁をします!!///」


「へっ!?」


 虹心の急な言葉で今日香ちゃんは驚くが、虹心は真面目な表情で言い始める。


「きっと兄ちゃんも、先輩の気持ちは嬉しいと感じていますが、自宅とは反対方向にお店が有りますし……度々お店に通えるほど、私たちはお小遣いを貰ってはいません……///」

「ですので……お気持ちだけ貰っておきます…!///」


 虹心は今日香ちゃんに言うが完全、俺は妹に尻を敷かれている状態だ!!

 いや、妹と言うより母親若しくは、妻と言った方が相応しいかも知れない!?

 虹心からの言葉で一気に元気さを失い、寂しそうな表情に変わる今日香ちゃん。


「あっ……そうなんだ///」

「武蔵君の家は、僕と反対方向だから、お店に来るだけでも大変なんだ…///」


「うーん。残念!(汗)」

「この学園生活で初めて、先輩のお友達が出来たと思ったのに!///」


「……(怒)」


 今日香ちゃんは虹心に言うが、虹心は澄ました表情と言うより、睨み付けるような表情で今日香ちゃんを無言で見ている。

 虹心が今日香ちゃんに、敵対心を持つのは仕方ないとしても、少しやり過ぎな感じがする。


「……」


(このまま、俺たちがお店を出れば、俺は偶然でも仲良くなれた今日香ちゃんとのえんを、みずから切ってしまうことに成る……)


 だが、俺は現在。虹心ともそれなりの関係を持っている。

 まさに虹心を選ぶか、今日香ちゃんを選ぶかの状態かも知れない。

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