第270話 新たな出会い!

「譲羽先輩が丁寧に教えてくれたけど、ほぼ一本道だったね!」


 虹心は店を視認しながら、安心した口調で言う。

 初めて行く店は迷う事も多いが、そんな事も今回は無かった様だ。


 ……


 俺と虹心は、新倉洋菓子店に到着する。

 建物は洋風だが店の出入り口上に、掲げられている看板は漢字で書いて有る!


(これが……英文字やアルファベットだったら、また違うと思うが…)

(あっ、でも、それだけ年季が入ったケーキ職人なんだろうか?)


「店内の窓はカーテンが閉まっていないし、照明も付いているから、営業はしていそうだね♪」


 嬉しそうな表情で言う虹心。

 だけど、希望のケーキが無ければ意味無いぞ!?


「さて、兄ちゃん。お店に入ろう!♪」


「だな!」


 今度は虹心が主役(?)になるので、虹心が先陣を切る。

 俺は手短に返事をする。

 虹心はお店のドアを開けて、新倉洋菓子店店内に入って行く。


『~~~♪』


 店内に入ると、鈴などのドアベル音では無く、電子チャイム音が俺たちを出迎える。

 それも、コンビニなどで聞くメロディー系統だ。


 俺たちが入った時点では、店内にスタッフや従業員の姿は見えない。

 ショーケースが有る右奥に通路が有るから、従業員やスタッフ達は店の奥に居るのだろう?


 だけど、虹心はそれを気にする事無く、ケーキが並んでいるショーケースの方へ向かって行く。

 俺はケーキを見るのでは無く、軽く店内を見渡す。


(昔ながらの、ケーキ屋さんと言えば良いかな?)

(今流行はやりの飲食スペースと言うか、喫茶コーナーも……一応有るか!)

(だが、商店街の中に有るし、景観も良いとは言い切れないから、此処でお茶をしたいとは思わないな……)


 新倉洋菓子店の店内は、店内に入ると真正面に、ケーキが並んでいるショーケースが有って、店内右側は一応店内飲食が出来るように、白いテーブルと椅子が二セット有る。


 そして、飲食が出来る都合上か、店内左側にはトイレも有る!

 簡単に言えば、こんな感じで有る。


「わっ!」

「苺のショートケーキが、家族人数分ちょうど有る!!♪」


「チョコレートケーキやミルフィーユも捨てがたいけど、今回は兄ちゃんに払って貰うからな!!」

「流石にケーキを八個も買わすのは、少し可哀想だ!!」


 虹心は和やかな表情で一人喋りしているが、俺にとっては和やかな内容では無い!///

 ケーキ八個って……俺は虹心の財布では無いぞ!!///


 虹心がショーケースのケーキを見ながら一人喋りをしていると、店の右奥から女性らしき人が現れる。

 間違いなく従業員か、店のスタッフだろう。


「はい!」

「いらっしゃいませ~~。ようこそ、新倉洋菓子店へ!!♪」


 その女性は店内に姿を見せた途端、俺たちに笑顔と凄く陽気な口調で言う!!

 俺と虹心は思わず、その女性を見てしまう。


「!!!//////」


「……」


 俺はその女性を見た瞬間、思わず胸が『ドキン❤』と弾んでしまう!!


(うぁ……何、この可愛い子!!)

(虹心や伊藤さん。小鞠ちゃんや陽葵先輩とはまた違うタイプの女性…///)


 髪型は、ミディアムヘアにレイヤーカットと、言えば良いのだろうか?

 元気らしさを感じる髪型で有る。

 髪の毛の色も……かなり茶髪で有るが、今時の子だから染めているだろうか?


 頭部は飲食店らしく、ピンク系統のギンガムバンダナをキャップ風に巻いている。

 服装は陽葵先輩と同じ様な、ホワイト系の長袖シャツに、グリーン系のキャミワンピースで有る。


 虹心は普段、パーカーばかりを着ているから分からないが、キャミワンピースが流行しているのだろうか?

 それとも……誰かさんが、ファッションに疎いだけだろうか!?//////


 だが、虹心は『何だ。こいつ…?』の表情で見ていた!?

 虹心の中ではこの女性と、馬が合わないのかも知れない!??

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