第264話 陽葵先輩を求める

 学園時の陽葵先輩は、クールと言えば良いのかな?

 話し方もしっかりしていて、礼儀をわきまえていると言うか……

 けど、それでも超絶の美少女なので、学園一の美少女と成った。


(今の姿が……本来の、陽葵先輩なのかも知れないな!)

(虹心と言い、伊藤さんと言い、女性は内と外で、顔の使い分けしないと駄目なのか?)


 俺はそんな事を思いながら、アイスティーをストローで飲む。

 虹心と陽葵先輩で会話が弾んでいるが、俺と陽葵先輩では会話が弾んでいない!!


 けど、こちらしても、黙って指をくわえて見ている訳には行かない!

 相手が動かないから……こちらから、攻めるしか無い!!


 ……


「―――」


「―――」


 虹心と陽葵先輩が楽しく会話している中、俺は陽葵先輩に話し掛ける内容を考えている。

 陽葵先輩は、俺には全く会話を振ってこないし、虹心も俺に配慮してくれない!?


(これは人伝からの情報だが、陽葵先輩は特進コース生では無い)

(だからこそ……俺は陽葵先輩のクラスを知らない)


(だがクラスを聞いても、俺の様な底辺が上級生クラスの上、陽葵先輩の元に行ける立場では無い!!///)

(仮に行っても門前払いされるか、その場で先輩男子達に絞められるだけだろう!!///(汗))


 ”またとない”機会で有るのに、俺は陽葵先輩に話し掛ける内容が見付けられない!!///

 それに陽葵先輩も、俺への興味が薄い感じがするし…//////


「それで、先輩!」

新倉にいくら洋菓子店の場所を、真優美さんから先輩に教えて貰ってと聞いたので、場所を教えて貰いたいのですが!♪」


 虹心は笑顔で陽葵先輩に言っている。

 虹心の言葉の後、陽葵先輩も笑顔で虹心に言い始める。


「虹心ちゃん。ケーキ気に入ったんだ~~♪」

「私も、新倉さんが作るケーキは大好きだよ~~❤」

「良いよ。私から、場所を教えるよ!♪」


「あっ、でも……此処には、紙とペンが無いから取ってくるね!♪」

「口頭で説明するより、地図が有った方が確実だからね!!♪」


 陽葵先輩は虹心に言い終えると、席を立ち上がり、真優美さんの居るカウンターの方へ向かって行く。

 俺はその時、陽葵先輩の後ろ姿を見ながら、店内に有る壁時計を見るが、時計の針は15時手前を指していた。


(まもなく……15時か)

(15時を過ぎるとお店が再開されるから、またお客さんが入り出すな…)


(真優美さんは陽葵先輩に“悪い虫”を近付けたくは無さそうだから、余り長くはこの時間を楽しめないだろうな…)


 真優美さんのお店は、常連客に愛されているお店で有るが、全員が常連さんばかりでは無い。

 “悪い虫”だって、来る時が有るだろう!!


 それに学園連中達が、このお店を知らない訳でも無い!?

 だが、場所を知って居たら既に来ているか!??


「ちゅ~~♪」


 虹心は涼しい顔でアイスティーを飲んでいるが、俺への助太刀をしてくれないのだろうか??

 俺は虹心に、お願いする表情で話し掛ける。


「虹心……虹心は、俺の彼女作りを応援しているのだろ?」

「少しでも良いから、援護射撃をしてくれないか!?」

「俺……陽葵先輩と関係を深めたいのだ!」


「んっ……兄ちゃんは、伊藤さんから乗り換える気?」

「そうなら、兄ちゃんを譲羽先輩に推すけど……」


 けど、虹心は和やかな表情では言わずに、澄ました表情で言う!

 陽葵先輩を求めるなら、伊藤さんを諦メロンか!!///

 まぁ……小鞠ちゃんの件から、二兎を追いけるのは良くないからな///


「うっ……うん。虹心!///」

「そのつもりだよ!!//////」


「伊藤さんは国内では無い遠い国に、片思いの人が居る!!///」

「だからこそ、伊藤さんは俺の想いを断った……」

「それなら、伊藤さんや二村さんを諦めて、陽葵先輩への移行を俺は目指す!!」


 俺は真面目な表情で虹心に言うが……、虹心は怪訝そうな表情で言い始める!!


「兄ちゃん……本気で言っている!?///」

「相手は、葉月学園一の人だよ!??」


「絶対、今までの様には行かないよ!!」


 虹心は凄く強い口調で言ってきた!

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