第229話 食事前の休憩

 ……


 食事前の軽い後片付けを終えた俺と虹心は、休憩も兼ねてリビングで寛いでいる。

 後、十数分もすれば、兄が帰って来る時間で有る。

 兄が帰って来れば、直ぐに晩ご飯の流れと成る。


『―――』


 虹心は夕刊を読んでおり、俺はテレビのニュース番組を見ている。

 テレビからは、地元情報のニュースが流れている。


 俺ぐらいの年齢に成ると、流石に子ども向けアニメを見る訳には行かないからな!?

 虹心は夕刊を読みながら、俺に陽気な口調で話し掛けてくる。


「兄ちゃん!」

「ここ最近、円安が急激に進行しているんだって!!」


 虹心は新聞、社会面の部分を読みながら言ってくる。

 虹心にはまだ、そう言ったのは早いだろうが……。俺は興味が無い表情で言う。


「そうなのか……虹心」

「円安が、急激に進行しているのか…!」


「んっ……兄ちゃん!」

「何、暢気のんきなこと言っているの!!」

「この円安からの影響で、物価の値上がりが来ているんだよ!!」


 急に真剣な表情に虹心は成ったうえ、怒るような口調で言ってくる!!

 そんな風に言われても、俺と虹心でどうにか成る問題では無いだろ!?


「虹心……そう言ったのは、国のお偉いさんに任せておけば良いのだよ!」

「俺たちで、どうにか出来る問題では無いから……」


 俺は困ったな表情で言うが、虹心は真剣な表情で言葉を続ける。


「それはそうだけど、兄ちゃん。これからの社会は私たちが作って行くのだよ!!」

「兄ちゃん見たいな、政治や経済に無関心な人ばかりが増えたから、今の経済状況に成って仕舞ったのだよ!!///」


「……えらく熱が入ってるな。虹心…///」

「虹心の将来は、政治家でも目指しているのか?」

「虹心なら、実現出来そうな気もするけど……」


 俺は呆れた表情で虹心に言う。

 すると、虹心は顔を上に向けながら、呟くように言い始める。


「あ~~~。そうだよね!」

「私が、国や世の中を変えれば良いんだ!!」


「ワザと働かない人たちを無くして、子どもたちを安全・安心に育てられる社会を、私や私の意見を賛同する人を集めて、実現すれば良いんだ!!」

「そうだとしたら、上の上まで目指さないと駄目だね!♪」


 此処からは俺に顔を向けて、和やかな表情で言う虹心。


「そうだよ。兄ちゃんの言う通りだよ!!」

「いきなり国会議員は目指せないから、先ずは市議会議員から目指さないとね!!♪」

「其処で……コネや弱みを掴んで―――」


「!!!」


(俺は冗談のつもりで言ったのに、真に受けたぞ。虹心!!///)

(本気で今から、政治家を目指すのか!!)


 虹心は学園の生徒会会長に、立候補するぐらいの軽さで言っている!!

 世の中、そんなに甘くは無いぞ!!

 市議会議員ですら、そんな簡単には成れないはずだし、それに供託金だって必要に成るぞ!!


「にっ……虹心!(汗)」

「本気で言っているのか……!///」


 俺は、恐る恐るの表情で聞く。

 だが、虹心は笑顔で言い始める!!


「兄ちゃん。誰かが動かないと、世の中は変わらないからね!♪」

「女性の地位や権利はもっとこれからも、認められる時代に成るはずだし、政治家の道を目指すのも悪くないかも知れない!!」


「そっ……そっか///」


 俺は、どうしようもない表情で返事をする。(汗)

 虹心なら実現出来そうな気がするが、万が一、虹心が内閣総理大臣に成ったらどう成るのだろうか??

 とんでもない法案とかを、立案するのだろうか!!?


『ただいま~~!』


 タイミングが良いのか悪いのかは分からないが、兄が帰って来たようだ。

 玄関からリビングへ声が聞こえて来る。


 兄は自室には向かわず、リビングの扉を開けて、改めて俺たちに帰宅挨拶を始める。

 虹心との変な会話も、これで終わりそうで有った……

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