第227話 冷やし中華 その1
……
俺は妹の虹心と、楽しい夏休みを過ごしている。
夏休み初日には昼食に、虹心が特製ラーメンを作ってくれたり、夏休み前半には隣町の公園に遊びへ行って、その公園でお弁当を食べたり、ボート遊びも楽しんだ。
普段から虹心は、母親勤務体制の都合で、家の家事をしている時が多いが、それは夏休みの時でも変わらない……
却って、夏休み時の方が、
その為、虹心は家で過ごすことが多いが、時には親友たちから遊びに誘われることも有るので、家事に明け暮れている訳では無い。
俺の場合はアクティブ系の親友が居ないことから、家で過ごすことが自然と多く成るが、散歩などをして少しでも、運動不足に成らない様に務めた?
俺と虹心は学年が違うが一緒に宿題(課題)をしたり、虹心が行くスーパーへの買い物に付き合ったり、時には虹心と将棋などのボードゲームやビデオゲームの対戦をして、兄妹では有るが少し恋人に近い関係を楽しんで、俺と虹心はこの夏休みを過ごしている……
☆
とある日の夕方時刻……
今日は母親が夜勤なので、虹心が晩ご飯を作っている。
母親が家に帰って来るのは、明日の朝で有る。
母親の勤務はシフト制で有るので、虹心が一週間に2~3日は、晩ご飯及び翌日の朝食を作る。
俺は虹心と関係を著しく深める以前は、食事作りの手伝いなど殆どしなかったが、夏休みに入って、虹心と過ごす時間が増えた影響から、少しずつだが食事作りを手伝う様に変わって行った。
だが、それは虹心がメインで食事を作る時で有る。
母親が居る時は、今まで通りで有る!?
母親は夜勤で有るが、兄の航平は日勤で有るから、今晩は三人兄妹だけの晩ご飯と成る。
虹心の話しに依ると、今日の兄は定時で帰って来るそうだ。
最近の兄は、日勤日でも残業が多かったのに珍しい……
俺とは関係を深めた虹心では有るが、兄とも今まで通りの付き合いをしている。
俺たちは兄妹だから、当たり前か……
「兄ちゃん!」
「そろそろ、麺が茹で上がるから、大きい丸皿を出しておいて!!」
ガスコンロに大鍋を掛けて、中華麺を茹でている虹心は、和やかな表情で俺に話し掛ける。
俺は虹心の晩ご飯作りの手伝いをしているが、完全に補佐で有る。
食器棚からお皿を出したり、食材を冷蔵庫から出したり仕舞ったりとの……虹心の小間使いで有る。
「うん……分かった。虹心!」
俺は食器棚から大きい丸皿を三枚取り出して、台所の調理台に成る場所へ置く。
丸皿も種類が有るが、俺の家の台所なので流石に勝手は分かる!?
俺が調理台に丸皿を置いて、数十秒時間が経つと中華麺が茹で上がったらしく、虹心がガスコンロの火を消して、大鍋を両手で持って、ザルを置いたシンク上で、中華麺が入った大鍋を空け始める……
『ジャ~~♪』
『バシャ、バシャ、―――♪』
ザルにあげた中華麺を、直ぐに水道水で洗い始める虹心。
俗に言う、麺を締めると言う行為をしている。
麺が自分の熱で、伸びない様にするで合っているだろう?
水で締めた中華麺の水切りをしてから、俺が用意した丸皿に中華麺を分け始める虹心。
そう……今日の晩ご飯はつけ麺では無く、冷やし中華で有る!!
冷やし中華もオーソドックスなタレから、ごまダレなどと種類が有るが、虹心が作る冷やし中華はオーソドックスな醤油だれで有る。
具材も錦糸玉子・キュウリ・ロースハム・スライストマト・わかめと、具材も一般的な具材で作る。
さっき、虹心が作ると言ったが、母親が作る時も同じタレや具材で作る。
なので、三國家の冷やし中華と、言った方が良いかも知れない!!
「~~~♪」
中華麺を分け終えた虹心は、鼻歌交じりで、先ほどの丸皿に乗せた中華麺上に、冷やし中華の具材を乗せている。
この家の台所は決して狭い訳では無いが、二人同時にする作業スペースは無いので、俺は少し離れた場所から眺めている……
(虹心はちゃんと……菜箸を使って、盛り付けているんだな!)
(俺なら素手で掴んで、乗せてしまいそうだ!!)
(その方が遙かに楽だし……)
細かく切った食材を盛り付ける時は、菜箸などを使うのが当たり前で有るが、素手の場合が早い時も有る!?
だが、虹心は菜箸を使って丁寧に盛り付けている。
この辺りも、虹心と言うべきだろう……
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