第220話 小休止

「……しょうが無いな。虹心!」


 俺は“しぶしぶ”の表情で言う。

 あの時……虹心が、俺に発破を掛けていなければ、間違い無しにあのに延長料金を支払っていたで有ろう……


「じゃあ、兄ちゃん!」

「一旦、公園から出てコンビニに行こうか!!」

「アイスは、コンビニに行かないと買えないし!!♪」


 虹心は笑顔で言ってくる。

 公園内に飲料水の自動販売機は有るが、アイスの自動販売機は置いてないのだろう?


 俺と虹心はボート乗り場が有る場所から、公園出入り口に向かって歩き始める。

 コンビニはこの公園、出入り口出た直後の場所に有る!


 その為、今日は虹心がお弁当を作ってくれたが、このコンビニで昼食を用意する事も出来た。


『~~♪』


『いらっしゃいませ~~』


 俺と虹心がコンビニ店内に入ると、チャイムの音と共に、コンビニのスタッフが気持ちいい挨拶を掛けてくれる!!

 ボート乗り場の老人男性スタッフとは大違いだ!!(怒)


 コンビニで買う目的の物は決まっているので、俺と虹心はその場所に向かう。

 それぞれが、好きなジュースとアイスを選んで、俺が持っている買い物カゴに商品を入れていく……


『お会計は―――』


 レジで会計を済まし、コンビニの料金は全額俺が支払う。

 ボートの延長料金は、15分につき300円で有るが、このコンビニで支払った金額は、その300円を遙かに超えていた!!


 俺の分を含めているから仕方ないが、ジュース一本とアイス一個で300円近い金額に成ってしまう!!

 まだ虹心が、高級アイスクリームを選ばなかっただけマシか……


『ありがとうございました~~』


『~~♪』


 コンビニを出る時も、チャイムの音ほぼ同時に、愛想の良い挨拶をするスタッフ!

 これが、お店の店員さんだよ!!

 あのクソじじいに、このコンビニスタッフの爪の垢を煎じて飲ませてやりたい!!


 俺と虹心は再び公園に戻り、何処か適当場所で、アイスとジュースを飲みながら小休止をする訳だが、何処でするべきだろうか?


「兄ちゃん!」

「アイスが溶けると行けないから、あのベンチで食べようか!♪」


 虹心は和やかな表情で、俺に言って来た。

 虹心が言う場所は、日差しが当たっている場所では有るが、桜の木は付近に無い。

 この時期だから日陰の方が良いけど、毛虫のリスクを考えると日差しでも、毛虫に刺されない方が良い!?


「日差しの場所だけ有って、誰も座っていないし……彼処にするか!」


 俺は澄ました表情で虹心に言う。

 桜の木が無い、日陰場所のベンチは先客たちに取られてしまっている!

 ジュースだけなら日陰の場所を探すけど、アイスは溶けないうちに食べる方が美味しい!!


(うぁ、よう焼けているベンチだ!)


 午後の日差しが強い時間帯だけ有って、ベンチもホットベンチに成っている!!

 今日は薄い雲が広がっている日では有るが、やはり夏の日差しで有る!


 日差しの当たるベンチでは有るが、俺と虹心はそのベンチに座り、俺は持っているレジ袋から、虹心が選んだ商品を手渡す。


「はい!」

「虹心!!」


「ありがとう、兄ちゃん!!」

「そして、ごちそうになります!!♪」


 俺が商品を手渡すと、虹心は嬉しい表情でお礼を言ってくれる!

 だが、この笑顔は異性の笑顔では無く、兄妹の笑顔で有る。

 俺と虹心は異性の雰囲気から、兄妹の雰囲気に戻っていた。


 俺はカップ入りアイスクリームを買ったが、虹心は夏らしくカップ入りのかき氷を選んだ。

 日差しの当たる場所で食べるなら、アイスクリーム系統よりも氷菓の方が良いかも知れない。


『いただきます!』


 少し早いおやつには成るが、食事前の挨拶を二人でしてから食べ始める。


「もぐ、もぐ、―――」


「シャリ、シャリ、―――♪」


 俺と虹心は公園の景色を見ながら、冷たい物を楽しむ。

 頭上には日差しが照りつけるが、体の中からは冷たさを感じる。


 この公園で昼食も食べたし、ボート遊びもして、おやつも食べている。

 この後は、どうするのだろうかな?

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