第213話 虹心と亀

「俺は今、満腹状態で有るから、ボートに乗るのも悪くないね…!」

「のんびりと出来るからな。虹心!!」


 俺は穏やかな表情で虹心に言う。

 俺の言葉で、虹心は嬉しそうな表情で言う。


「なら、少し食休みをしたらボートに乗ろうね!!」

「兄ちゃん!!」


 昼食後の予定は、虹心とボートに乗ることに決まった。

 言うまでも無く、ボートは有料で有るからボートに乗るにはお金が必要で有る。


(俺は弁当代を出したが、弁当は全て虹心が作り・詰めてくれた…)

(この公園の、ボート貸出料が幾らかは知らないが、全額俺が出すべきだよな…!)


 東屋あずまやから見える景色を見ながら、俺はそう感じる。

 ここで割り勘とか言ったら、男の価値が下がってしまうだろう!!///


「今日は夏休みだけど平日だし、存分にボートで遊べそうだね!!」


 虹心は公園の池を見ながら、和やかな表情で言う。

 この公園の池面積は、ボート遊びが出来るぐらいで有るから、先ず先ずの広さが有る。

 俺と虹心が居る場所から、公園池の全体が見えるが、水面がボートだらけの状態では無い。


 水面上には、数隻のボートが見えるだけで有る。

 これなら、公園内の池を自由自在にげるであろう!!


 雑談をしながら俺と虹心は、食後の食休みをして、食休み後はお弁当箱の容器などを片付けてから、東屋からボート乗り場向かった……


 ……


 だが、ボートへ乗る前に、虹心はお手洗いを希望したので、お手洗いを済ませてからボートに乗ることにする。

 俺も男性トイレでお手洗いを済ますが、男性の方が早くお手洗いが済む。


 お手洗いが済んだ俺は、公衆トイレ近くの池で待つ。

 只待つだけは暇なので、池の水面を眺める。

 この池にはこいや亀などが住んでいて、水面からでもその姿が良く見える。


(意外に、たくさんの鯉が居るのだな……)

(この公園が、この鯉を管理しているのかな?)


「兄ちゃん!」

「お待たせ~~!!」


 俺がそんな事を考えている間に、虹心はお手洗いを済ませて、陽気な声を掛けながら俺の元に寄って来る。


「兄ちゃん。この池の鯉を見ているの?」

「たくさん居るでしょ~~~!」


「…あっ! 亀さんだ~~♪」

「亀さんが泳いでいる~~~!♪」


 池を泳いでいる亀に虹心は気付き、嬉しそうな表情で言う。

 好奇心旺盛な妹で有る。


 池を泳いでいる亀は、俺と虹心の存在に気付いている筈なのだが、優雅に泳いでいる!?

 普通は逃げない物か??

 それを嬉しそうな表情で、虹心は見ている。


「バイバイ~~。亀さん!!」


 亀はそのまま優雅に泳ぎ去って行くが、亀が離れて行く時に、虹心は別れの言葉を掛けている!!

 普段は、大人の女性顔負けの事をしているのに、まだ子ども心は残っているんだな!!


「兄ちゃん!」

「亀さんは良いよね!!」


 虹心は無邪気な笑顔で言う。

 虹心は亀に興味が有るのか?


「虹心は、亀が好きなのか…?」


 俺は澄ました表情で聞くと、虹心は笑顔で答える。


「うん! 好きだよ!!」

「あの、のんびりとした姿が良いよね!!♪」


「虹心は亀が好きか…」


 澄ました表情で俺は呟きながら思う。


(亀なら……俺だって立派な、亀が備わっているのだよな……)

(さっきの亀より、俺の亀の方が可愛いはずだ!?)


(今度、虹心の前で出して、良い子、良い子でもして貰うか!!)

(だが……そんな事をしたら、虹心は俺の亀を踏み潰してきそうだ!!///)


 おれは下らない妄想をするが、これだけ虹心と関係を深めてしまうと、どうしても虹心に触って欲しいと思う気持ちが出て来てしまう!///

 亀が好きなら、俺の亀だってきっと好きに成るだろう!?


 ……


 来た道を戻ることに成るが、俺と虹心はボート乗り場に向かい、ボート乗り場に到着する。

 ボート乗り場はガランとしていて、待ち時間無しでボートに乗ることが出来そうだ!!


 俺は早速、ボート乗り場建物内に居る、老人に近い男性に声を掛けた。

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