第164話 最後の灯火が消える時 その2

「……厳しいどころか、全てが終わった感じがするよ!」

「虹心……」


「兄ちゃん……///」


 俺は諦めた表情で言うと、寂しそうな表情で言う虹心。


「振り出しどころか、スタートラインにも立てなく成ってしまったよ!」

「俺の始まりは、小鞠ちゃんからだったからな……」


「兄ちゃん!(汗)」

「そんなに落胆しないでよ!///(汗)」

「長い人生だから、そんな時も有るよ!///」


 虹心は俺を慰めてくれる!

 虹心って……こんなに優しい妹だっけ?


「そう言ってもな……一気にモテ期が来て、こう一気に終わってしまうと、“やりきれない”気持ちに成ってしまうよ!///」


「兄ちゃん!」

「まだ、兄ちゃんのモテ期は終わって居ない筈だよ!///」


「今は只、低調期なだけだよ!!///」

「きっと近い内に、モテ期は回復する筈だよ!///」


 何故か、力強い表情で言う虹心!?

 けどモテ期って、人生の中でも数回しか無いし、運が無い人だと一回も訪れないんだろ?


「そうだと良いがな……」

「だが、これでしばらくの間は、彼女作りをしたいとは思わないな……」


「…………」


 俺が途方に暮れた表情で言うと、何故か虹心は『ジッ』と俺を見据えている!?

 俺なんか見つめても、悪いことは起きても、良い事は絶対に起きないぞ。虹心!!


「……これは、最後は私の出番か…!」


 虹心は何かの小言を呟いたが、俺の耳では聞き取れなかった。


「……今の兄ちゃんを見て居ると、こっちまで気が落ち込みそうだから、今日はこれで失礼するね…///」

「兄ちゃん……///」


「…………」


 虹心は困った微笑みで言い終えると、ドアの方に体の向きを変えて、静かに部屋を出て行く……


『パタン♪』


 俺は虹心に就寝の挨拶を掛けること無く、無言で見送ってしまう。

 俺の表情が今、どんな表情をしているのかは、鏡が無いから分からないが、側に居たくない表情をしているのは事実なんだろう。


「虹心は妹だから、いきなり俺の側から居なく成ることは無いが、これでもし、虹心を何かの形で失ってしまったら、俺の人生は完全に終わりだな…!」


「でも元を言えば、全て自分が蒔いた種で有るし、俺が二村や伊藤さんに目移りをさせずに、小鞠ちゃん一本で絞れば、こんな事態には成らなかった筈だ!」

「俺は……急激に訪れたモテ期に、翻弄されてしまったのだろうな……」

「詳細は明日、小鞠ちゃんから聞いたとしても、どう対応すれば良いのかな?」


 俺はその対応を何となく考えてみる。


『小鞠ちゃん!』

『虹心から話しは聞いたよ!!』

『園芸クラブの子から、告白されたんだってね!///』


『小鞠ちゃんが、迷っている見たいだから敢えて言うけど、そんな何処の馬の骨か分からない奴より、俺と付き合おうよ!!』

『絶対、そっちの方がメリットが有るよ!!』


「とでも、言ってみるか!」

「でも、そんなこと言ったら小鞠ちゃんは絶対、虹心に報告をするだろうし、虹心も俺を注意どころか、怒ってくるに決まっている!(汗)」


「俺が自ら小鞠ちゃんと距離を開けたのに、都合が悪く成ったからと言って、押し迫るのも本当に良くは無い……」

「小鞠ちゃんが、それでも俺を選べば別だが、虹心のあの話し方だと厳しいどころか絶望的な感じがするよな……」


 小鞠ちゃんの気持ちは当然、俺には分からない。

 小鞠ちゃんに絶交宣言をされてから、かなりの時が過ぎているのに連絡は一つも来ないし、俺も一切連絡を取っていない。

 こんな状態で、小鞠ちゃんと再び仲良く出来る訳が無い!!


「これ以上……考えても仕方ないし、今日は寝るか…!」

「明日の午後に成れば小鞠ちゃんが家に来るし、その時に先ずは謝って、小鞠ちゃんの気持ちを改めて聞いて見よう!」


 俺から謝れば小鞠ちゃんのことだ。

 素直に許してくれるし、再び仲良くはしてくれるだろう。


 だが、親友関係は回復出来るかも知れないが、以前のような深い関係までは戻れない感じがした。

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