第159話 妹と昼食 その2

 俺は現在。小鞠ちゃんと絶交中で有るが、俺や小鞠ちゃんも、虹心には報告をしていない。

 俺の場合は、虹心に余計な気遣いをさせたく無いからで有る。

 色々なことを虹心に報告したい気分で有るが、先ずは小鞠ちゃんからのことから話し始めるか……


「……虹心。そのこと何だが…」


 俺が悩んだ表情で話し出そうとした時。

 虹心は席を立ちながら、穏やかな表情で言ってくる。


「兄ちゃん!」

「私が食べているパスタの種類で良ければ、温めて置いて上げるよ!!」


「兄ちゃんの感じだと、色々と話したそうな顔をしているし、私も伊藤さん振られた理由を聞きたいからね♪」

「昼食とお話し前に、着替えてきたら?」


「あっ……あぁ!」

「なら、虹心と同じパスタで良いよ!///」

「ありがとう…。なら、着替えてくる……」


「うん。じゃあ、温めておく!」


 俺は戸惑った表情で虹心に言うと、虹心は返事をして、俺の昼食準備を始めてくれる。

 制服から着替える為に、俺は台所から出て自室に向かう。


 俺は別に、こだわりの冷凍パスタは特にないから、食べられればそれで良い。

 自室で着替えを済ませ、俺は台所に戻る。

 台所に入ると丁度虹心が、レンジ調理を終えたパスタをテーブルに置く所で有った。


「あっ、兄ちゃん。良いタイミング!♪」

「丁度、出来た所だよ!♪」


 俺の顔を見て、笑顔で言う虹心。

 伊藤さんや二村さんとはまた違う……虹心の笑顔。

 俺はその笑顔を見て何故か、胸が熱く成って来る……


「……///」


「……?」

「兄ちゃん、どうした?」

「ジッと私を見ちゃって……」


「あっ……いや、美味しそうなパスタだなと…!///」


 虹心を意識していたことを勘づかれ無いように俺は、適当な言葉を言う。

 俺が意識して見ていたことを、虹心は気付かなかったのか、嬉しそうな表情で言い始める。


「うん!」

「このパスタは、凄く美味しいよ!!」

「鮭の脂と塩分が、パスタと良く合う!!


「へぇ~~、そんなに美味しいんだ!!」


 俺は和やかな表情で虹心に言いながら、テーブルに備わっている椅子に座る。

 俺の席には先ほどのパスタと加えて、水とさっきまでは無かった食パン袋が置かれて有る?

 俺が不思議そうに食パン袋を眺めていると、虹心は和やかな表情で言い始める。


「パスタだけでは、兄ちゃんは足りないでしょ♪」

「パスタだから、パンを置いて置いた!」


「あっ…ありがとう。虹心!」

「食パンだから、パスタと合いそうだね!!」


(今日の虹心は何だか、凄く気が利くな…)

(普段から周りを良く見ている虹心で有るが、今日は気配りが一段と出来ているよな…)


 普段の虹心と変わらない動作で有ると思うが、俺はそう感じてしまう。

 失恋した直後で有るから、そんな僅かな気配りでも、俺の心は嬉しく感じ取っているのかも知れない?


「いただきます!」


 俺は食事前の挨拶をしてから、虹心が温めてくれたパスタを食べ始める。

 鮭とほうれん草のパスタで有るが、クリームソース系では無く、和風パスタと言えば良いのかな?


「…うん!」

「和風パスタだけど、結構コクが有って美味しいね。虹心!」


 別に感想を言う必要性は無いが、俺は笑顔で虹心に感想を言う。

 虹心も笑顔で、俺の言葉の後に言い始める。


「うん! 美味しいね。兄ちゃん!!」

「クリームソース系も美味しいけど、和風パスタも良いよね♪」


 妹との食事なのに何故か、年下の彼女とデートをしている気分を感じる!?

 食べ物がパスタだから、そう感じ取れるのかな?

 これが豚汁とかカツ丼だったら、そうは感じ取れないのかも知れない!?


 虹心への報告も有るが、先に食事をいただこう!

 温かい料理は、温かいうちが一番美味しい!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る