第121話 メールで連絡 その2
俺はスマートフォンを操作して、メールアプリを開くと、伊藤さんに送ったメールから返信が来ていた!
(やっぱり、伊藤さんからだ!)
(伊藤さんのイメージ上。スマートフォンを好んで使う雰囲気は、見られなかったけど、俺のことを気にしてくれていたのかな!!)
伊藤さんからの返信メッセージを開く……
『こんにちは。連絡有り難う』
『やっぱり、そうか……』
『でも、これだけの情報では動きようが無いから、もう少し様子を見ましょう』
『後……もう、連絡が取れる関係に成ったのだから、不必要に会うのは止めましょう』
『連日で三國君と自習室を使うと、流石に教員から怪しまれるから』
『これからも、この様に連絡を取り合いましょう』
(メールも愛情を感じない、味気ない文章か……)
(顔文字や絵文字は一切無いし、記号類も無い……)
はっきり言って、伊藤さんのメールメッセージは、見ていても楽しいとは感じ取れないメッセージで有る。
『何かの連絡をしました!』のメッセージで有る。
これも、伊藤さんのポーカーフェイスか!?
(しかし、放課後の相談を間接的に断ってきたか!)
(伊藤さんも虹心では無いが、本格的に警戒しだしたか!?)
伊藤さんのガードが堅いのは、学年内では有名話で有る。
そんな伊藤さんと、奇跡的に関係を持ててしまった俺で有るが、それでもこの様にガードして来る!!
(これでは他の方法で、伊藤さんを誘っても動かないよな?)
伊藤さんは、学年一位・二位を争う美少女で有るから、学園近くのファストフード店やファミレスで交流を深めるのは、学年の男子達を敵に回す事に成るから出来ない。
俺の家にも絶対来てくれないだろうし、真優美さんのお店に放課後へ行くのは、俺の移動時間を考えると少々厳しい!
(どちらにしても、これだけの情報では伊藤さんの言う通り、動きにくいわな…)
(でも、出来れば……松田が二村さんに告白する前に、止めたい気分では有るが……)
俺は二村さんが好きで有るが、何が何でも、関係を修復したい訳では無い。
だが、お互いが好意を示し合わせたのだから、こんな形で二村さんと関係を切りたくないと、俺が感じるだけで有った。
(けど……どうしようも無いか!)
(俺は二村さんが好きだけど、伊藤さんにも興味を感じてしまったし、虹心も伊藤さんをプッシュする)
(時の流れに身を任せるのも、一つの選択肢かも知れないな……)
俺は複雑な表情をしながらスマートフォン画面を眺めているが、クラスメイトたちは誰も俺の異変に気付かないのか、気付かない振りをしている。
俺が陽キャラなら、直ぐ誰かが、俺の席に来ているよな……
(そんな事を思っても、しょうが無いか!)
(……伊藤さんに、先ほどの返信をしないと!!)
俺は、伊藤さん宛の返信メッセージを打ち込む。
「伊藤さん。分かりました!」
「もうしばらく、二村さんの監視を続けます!!」
「では、これからも連絡はメールを中心で行います」
(こんな感じか…?)
(伊藤さんは、二村さんの代わりをして上げると言った割に、二村さんのような愛嬌を感じ無いのだけど……)
俺は悩んだ表情をしながら、メール送信ボタンをタップする。
これで今日の放課後は、今週初めてのフリーに成るのだが、別に予定が有る訳では無い。
(……あと少しで、昼休憩も終わるな)
(午後の授業準備を始めるか……)
収穫が無いまま、本日の昼休憩は終わりを迎えた……
☆
午後からの授業も問題なく進み、あっという間に夕方のHRを迎える。
あの後、伊藤さんからの返信は無かった。
『了解!』ぐらいの、メッセージすら送らないとは……
大した連絡事項も無いまま、夕方のHRも終わり、クラスメイト各自はそれぞれに向けてバラケ始める。
(此処に居ても仕方ないし、伊藤さんも相談には乗ってくれないし、二村さんは俺を無視しているだろうし、とっとと帰るか……)
(んっ……)
二村さんはクラブ活動が有る筈なのに、今日は何故かHRが終わった直後。自ら松田達の方に行って会話を楽しんでいた!?
それも、今までの中で一番楽しそうな表情で、松田達や古賀を含む、DQN女子達との会話を楽しんでいた!?
(これは、いよいよ、駄目か……)
俺は直感で、そう感じ取ってしまった……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます