第110話 二回目の相談 その3

「私だって、親友を守りたい気持ちは有ったからね!」

「見過ごす事も出来たけど……それは人として失格でしょ!!」

「私は卑怯者と、自分勝手と、意気地が無い人間は大嫌い!!」


 力強い表情で言う、伊藤さん。

 この人は本当に、芯がしっかりしている!


 虹心も芯が有る妹だが、情に流される時が意外に多い!?

 けど、伊藤さんはそれが少なそうに見えた。

 伊藤さんの片思いの人も、正義感が強い人なんだろうか?


「向こうから……縁を切ってきた彩織だけど、私の後ろ盾が無くなれば、彩織は再び苛められる可能性が高いわ!!」


 伊藤さんは断言する口調で言う!?

 俺はその言葉に、疑問を感じた表情で言う。


「伊藤さん……そう成りますかね?」

「俺のクラス内で苛めらしい現象は起きてないし、女子達も確かにDQN系は居ますが、クラスで一番人気(男子)の二村さんに手を出しますかね?」


「そこだよ……三國君!!」


 伊藤さんは指摘する表情で言う?

 俺はそれが理解出来ず『?』の表情をしながら言う。


「そこ…?」


「彩織を狙っている二人……普通の子では無いのでしょ!」


「まぁ……普通では無いですね。陽キャラとDQN系…」


「なら、そのDQN系女子達が彩織を苛め出すわ!」

「DQN系は、DQN同士で関係を深める事が多い!!」


「男子はそうでも無いけど、女子はその傾向が強い!!」

「女子は同じ境遇同士での、傷の舐め合いをしたいのよ!」

「その二人とDQN女子…。結構仲が良いでしょう?」


 伊藤さんは、勝ち気の表情で言う!

 俺は伊藤さんに言われて、考え始める……


(……言われてみれば、松田・中田グループと、DQN女子グループの混合が出来ている時も有る)

(俺の当初の予想では、その混合グループで二村さんを攻略すると考えていたが、実際は違う訳か…)


(松田や中田にれている、DQN女子達が何人居るかは判らないが、それを二村さんに横取りされたら、二村さんは泥棒猫に成るから、DQN女子達は黙ってないと……)

(今までの伊藤さんの話しを聞いていたら、冗談抜きで有り得そうだな……)


「……伊藤さんの言う通りに、成るかもですね…」


「成れば良いのよ!」

「私も彩織を、近所親友の理由で甘やかしすぎた!!」


「本当に痛い目に遭えば良いのよ!」

「私の影の苦労も知らないで………」


 伊藤さんは険しい表情と、吐き捨てる口調で言う!?

 伊藤さんは二村さんに縁を切られて、悲しむかと思っていたが全く違っていた!?


 却って『私の苦労を台無しにしやがって!』の感情が滲み出ていた!!

 本当に女性の世界は恐ろしい事を、俺は改めて知ってしまった!?

 俺は落ち着いた口調で、伊藤さんに話し掛ける。


「伊藤さんの二村さんに対する、気持ちは理解出来ました…」

「俺は……二村さんのとの今後の関係を、どうすれば良いでしょうか?」


「三國君にとっては、そっちが本題よね!」

「三國君の失言が、そもそもの原因だけど……」


 伊藤さんは困った表情で言う。


「けど、その前から二村さんは不機嫌では無かったですか!」

「俺は二村さんの過去を知る事が出来たけど、伊藤さんが断りも無く二村さんの過去を俺に話してしまった」


「……そうね!」

「アレは不味かったと、今更ながら思うわ!!」


「それでどうやって、俺は二村さんと関係を戻しましょうか?」


 俺が伊藤さんに悩んだ表情で聞くと、伊藤さんは澄ました表情で言い始める。


「……三國君。正直に言うわ!」

「今、私から彩織に何を言っても彩織は心を開けないし、三國君が幾ら謝っても彩織は許さないわ!」

「彩織の中では、私と三國君に裏切られたと感じて居るから…」


「さっきも言った様に、彩織が痛い目に遭わない限り、彩織は私たちには振り向こうとはしない。それを待つしか無いわ!!」


「例えですが……二村さんがDQN女子達に、苛められ無かったらどう成りますか?」


「そのままの関係が続くだけよ。三國君…」

「彩織は意外に順応性が有るから、DQNの道に進み始めるかもね!」


 伊藤さんは、最後の文章を苦笑いしながら言う……

 俺は想像する。DQN姿の二村さんを……


 サングラスをして、奇抜な格好の二村さん!!

 何時もだるそうな顔して、学園指定外のカバンを肩に掛けて、スマートフォンを眺めている姿を!!

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