第84話 伊藤の突然すぎる提案!? その2

「三國君!」

「君はつもりだろうけど、私から答え言うよ!」

「何故、学年女子たちから嫌われたかを!!!」


 俺が空笑いをし終えると伊藤さんは急に、勢いの有る表情と口調で言い始める!?

 急に答え合わせの時間がやって来た!?


「君には、最初から彩織や小鞠ちゃんと言う本命がいるのに、敢えてその二人とは関係を望む行動を起こさず、落とし所がく女性で満足しようとしたのに、学年女子たちは気付いていたのかもね!」


「!!!///」


(流石、伊藤さんだ……)

(俺の心の内を、完全に読んでいる!///)


 俺だって無謀な戦いをするぐらいなら、勝ち戦に成る戦いをしたかった。

 二村さんや小鞠ちゃんも、俺に明確な好意が有るからこそ実行出来た。

 そうでなければ、実行は出来ない。


 二村さんは学年一位・二位を争う美少女だし、小鞠ちゃんも虹心と言う、強力な護衛が居る。

 俺が正攻法で二村さんを攻めれば、松田などの陽キャラグループから絶対妨害を受けるし、小鞠ちゃんの場合も虹心から徹底的にガードされた……


「あら……図星!?」

「私が余計なことを教えなければ……良かったかな?」

「そうすれば三國君は、妹の親友さんと関係を深めた訳だし……」


 伊藤さんは『あらら』の表情で言っている。

 伊藤さんの言っている事は間違って無いが、それを知ってしまったら、やはり小鞠ちゃんより二村さんの方が良い。


「三國君……まぁ、その辺のことは彩織には秘密して置くわ!」

「彩織がそれを聞いても、良い気分はしないだろうし…!」


「そうして貰えると助かります……。伊藤さん」


 俺は伊藤さんに、お願いする口調で言う。

 伊藤さんも虹心と同じで、頭が切れる人だ。

 それだから、場の雰囲気を確実に読むことが出来る。


「しかし、三國君!」

「彩織と仮に付き合う気が有るなら、妹の親友さんに完全諦めて貰ってから、付き合いなさいよ!」

「雰囲気的に彩織が、後出しの感じがするから……///」


 伊藤さんは困った表情で言うが、こう成ったにはきちんと理由が有る。

 伊藤さんに説明する口調で、俺は言い始める。


「伊藤さん。実は、小鞠ちゃんの方が後出しなんです!(汗)」

「俺と二村さんが急に仲良く成ってしまったから、それを見た小鞠ちゃんが、恋に目覚めてしまって……」


「……本当に、三國君たちの関係は複雑だね!」

「私は関係無いと言えなく成ったし、私も彩織の背中を押した以上、彩織を応援する!」


 伊藤さんは興奮した表情で言うが、恥ずかしそうな表情に変わって言葉を続ける。


「後、さっきの……ハーレムは、無かった事にして…///」

「私と彩織がそれをすると、三國君の妹や妹の親友さんが、暴走する様な感じがするから(汗)」


(伊藤さんは、虹心や小鞠ちゃんの暴走まで予測している!?)

(虹心は別にして、小鞠ちゃんは絶対暴走するだろうな……)


「俺としても、今はその方が良いと思います」

「虹心や小鞠ちゃんも、意地が有る子ですので……」


「もしかしたら、三國君……」

「軽い気持ちで妹さんに頼ったのに、大変な事に発展するかもね!」


 伊藤さんは穏やかな表情で言う。今までだったら、無表情で返すのに……

 けど、俺は伊藤さんに、虹心たちに頼った話しはまだしていないぞ!?


(これまでの状況から、推測したのか!?)


 だとしたら……この人は本当に怖い人だ!!

 味方にするなら良いけど、敵にすると厄介では済まないだろう……


「縁起でも無い事を言わないでください。伊藤さん///」


「大丈夫よ。三國君!」

「彩織と三國君の気持ちが、本当だと判った時点で、私からも三國君の妹さんたちを説得して見るわ!!」


 俺は頬を染めて困った表情で言うと、和やかな表情で話す伊藤さん。

 俺に対しては、心を開けてくれたようで有った。

 やっぱり、二村さんの親友で、伊藤さんは心を開けてくれたのだよね?


(大分……親身的に成って来たな)

(それだけ、俺と二村さんの恋を成就させたいのだろうか?)


「亜紀~~。それと三國君!!」

「待たせてごめんね~~(汗)」


 廊下の向こうから、陽気な声を掛けながら二村さんがやって来る。


「三國君…。この話しはここまでね!」


「はっ、はい……///」


 伊藤さんは微笑みながら呟き、俺は頬を染めて短く返事をする。

 短い時間の間に、俺は伊藤さんとも関わりを深くしてしまう。

 本当に急展開の状態ばかりで有る!?

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